2011年05月20日
超長編 いろいろあって 冬〜春編
Ciao. spockです。
5月ももう下旬かぁ・・・・
やっと、初夏らしい陽気が続くようになりましたねぇ・・・・と言っても、朝晩はまだまだ寒いですが。
毎年、ゴールデンウィークの後は、反動でヒマになる時期ですが、この業界の宿命みたいなものですかね。
ウチの場合、例年ゴールデンウィークはヒマなんですが、今年は自粛ムードもあって、さらにヒマなのではないかと思っていたのだけれど、ありがたい事に大忙しでした。
ただ、こういう時は、一人でやっている限界を感じてしまう事もあります。
朝7時から夜11時までぶっ通し、というのは、体力的には何とかなリますが、気力的には限界に近いですね。
ディナーの場合、お客さんの進行状況を見て、タイミングを合わせながら料理を作ってサーヴィスするわけですから、結構神経を使うし、疲れます。
ウチのディナーの予約は、1日2組までにしていますが、集中力の持続という意味でも、これが限界でしょう。
だから、2組ずつ予約の入った日が続くのは、かなりハードな状況です
先日、ランチに来られた方が、一人でワインを1本空け、かなり酔って帰られたのですが、帰り際にこう言われました。
「店はヒマなくらいでちょうどいいの。忙しかったら身体がもたないよ。」
水商売風の女性でしたから、経験上思っている事を、酔った勢いで言われたのかもしれませんが、ある意味において真理ではありますね。
欲の皮が突っ張って、お客さんを入れるだけ入れるような事をしていれば、ロクな事にはならないでしょう。
料理の質を落とさないように地道にやっていく事・・・・このやり方は変えません。
まぁ、儲けは出ませんが。
さて、では本題に入りましょう。
このブログも、しばらくは『月刊』状態でしたが、以前から書き溜めていたものを仕上げて、一挙にアップします。
今回はひとつずつ独立した話を並べてみました。
飛騨プラネタリウムでのHAYABUSA -BACK TO THE EARTH- 、酒蔵めぐり、発表会、曳き別れ、の4編です。
その結果『超長編』になりますが、かなり前の事もあるので、『いろいろあって 冬~春編』としてまとめてみました。
では、始めましょう。
2月13日、以前にも書きましたが、飛騨プラネタリウムで、HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- が上映されるのを見に行きました。(ここで予告編が見れますよ)
12月に行った時に、『ひだ清見雪まつり』に合わせて11〜13日の3日間だけ再上映される事を、職員の方に教えてもらったので、絶対に見に来ようと思っていたのですよ。
仕事の都合で、最終日にしか行く事ができなかったのですが、見逃したら後がないので、午後最初の回に間に合うように出かけました。
ところが、会場まで行くと、駐車場がいっぱいで入れない・・・・
待っていても空かなくてイライラしていたら、開演5分前になって、ちょうどすぐ近くのクルマが出て行ったので、急いでそこにクルマを入れ、雪道を走ってプラネタリウムに向かう。
中に駆け込んだところで、受付の人が、あと一人、と言っているのが聞こえたので、受付に行って、一人です、と言ったら、ティケットをもらえました。
ギリギリセーフ!!
ドームに入ると、当然中はほぼ満席。
通路脇にちょうど空いている席があったので、そこに座って開演を待ちます。
ドームが暗くなり、ドーム全体に画像が映った時、それだけで感動しましたねぇ。
この映画は、家庭用のDVDも出ているけれど、やっぱりプラネタリウムのドームで見てこその映画だと思います。
映画の内容については、詳しく説明したところで、実際に見なければ分かりませんから、書きません。
でも言える事は、見に行って本当によかった、という事。
見ている間に何回か、眼が熱くなりましたからね。
はやぶさって、単なる機械とは思えない、感情に訴えかけてくるものがありますね。
はやぶさが地球へ帰って来た時、最後に故郷の地球を見せてやりたい、という事で、大気圏突入の直前、一時的に地球の方を向かせ、地球の画像を撮らせたのです。
その画像のスキャニングの途中に電波が途切れているのを見て、最後に地球が見れて良かったなぁ、って少し感傷的な気持ちになってしまいましたが、映画を見ている間、その事を思い出していました。
この映画が作られたのは1年以上前、要するに、はやぶさが地球に向かっている時だったのですから、はやぶさが大気圏に突入して燃え尽きるシーンは、状況を予想してCG化したものなんでしょうが、実際の映像とそっくりだったのは驚きでした。
映像を堪能し、ドームから出て1階へ降りると、12月に来た時に今回の事を教えてくれた職員さんが受付にみえたので、お礼を言いに行くと、オレの事を覚えていてもらえたようで、しばらく話をしてから、ウチの焼菓子とパンフレットを渡してきました。
その後、この HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- には、新たに HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- 帰還バージョン エピローグ~はやぶさが伝えたもの~ という新ヴァージョンが作られたそうですが、それも是非見てみたいものです。
オレは、宇宙や星に関してはマニアではないけれど、すごく惹かれます。
普段、自分の存在について考える事なんてあまりないけど、宇宙について考える時、宇宙が存在するから自分が存在するのだという事実を、改めて実感できますからね。
オレは子供の頃から、どうしようもなく落ち込んだ時、とにかくスケールの大きいものの事を考える事にしていましたが、そうすると、小さな事に悩んでいるのがバカバカしくなって、すぐに立ち直る事ができるんですよ。
そういう場合、一番手っ取り早いのが、宇宙の事を考える事と、手塚治虫の『火の鳥 未来編』を読む事でした。
宇宙の大きさについてはこの画像が分かりやすいですよ。
最後に、最近見つけたばかりの星雲の画像をリンクしておきます。
いやほんと、想像を絶する美しさですね・・・・中でもオレは、オリオン大星雲が好きです。
そういえば昔、オリオン大星雲の写真を見て、ガッチャマンだ、と言った人がいましたが・・・・って、歳が分かりますねぇ。
冬の高山の風物詩となった『酒蔵めぐり』
前から行きたいと思っていながら、初めて行ったのが去年の事で、しかも終了間際の平瀬酒造さんへ駆け込みで行ったのですが、面白かったので、今年は全酒蔵を回ってみようと、その日が来るのを待っていました。
最初は平田酒造場・・・・銘柄は『山の光』『酔翁』『飛騨の華』ですね。
杉玉のついた看板を見ながら中に入ると、そこは時間の流れが違っているような空間です。
オレの他に6人ほどの人が待っていましたが、ガイドをしてくれるのは、ウチのお客さんで杜氏の平岡君の奥さんです。
酒の香りが漂う中、説明を聞きながら、一つ一つの工程を見ていきます。
すべてが歴史を感じさせる、古びた建物や道具・・・・違う時代へ迷い込んだみたいですね。
途中で、後ろから「あれっ」という声が聞こえたので、振り返ると山ちゃんがいました。
仕事が終わったので来てみたのだそうですが、二人で観光客に混じって見ているのも、なんかヘンではありますね。
見学の最後は、酒の試飲です。
板粕をストーブの上で焼いて砂糖醤油をつけたものもありましたが、ストーブを囲んで、ガイドの人達や平田さんから、いろいろ話を聞かせてもらいました。
次の週は、原田酒造場・・・・銘柄は『山車』です。
観光客が一番多い三之町にあるせいか、中に入ると観光客が結構いますね。
見学希望者が揃うまで店内を見ていたのですが、湯気を逃がすための高い天窓からの光が、いかにもそれらしい雰囲気を出してますねぇ。
酒を仕込むための井戸水が飲めるようになっていたので、飲んでみましたが、美味い水です。
ここでは、先に試飲がありました。
今回もガイドは平岡さん。
ここは酒蔵の規模が大きい事もあり、かなり機械化が進んでいて、太いホースが縦横に走っていますが、蒸しあがった米は、このホースの中を風圧で押し出され、次の工程へ運ばれるわけです。
隣のグループは、外人さんが混じっていて、英語のできるガイドさんが説明しています。
日本国内での日本酒の消費が頭打ちになっている現状では、すこしでも外国のファンを増やす事が必要不可欠ではありますね。
その次の週は、川尻酒造場・・・・銘柄は『ひだ正宗』『天恩』です。
中へ入っていくと、川尻君がニコニコと出迎えてくれました・・・・で、いきなり先制攻撃。
「市民時報の広告に『変わった店』って書いてあったけど、店ではなくてマスターが変わっとるんやろ。」・・・・はいはい、確かにそのとおりです。
まぁね、彼の「我が道を行く」という生き方や、エキセントリックとも思える言動が、オレと似ている事もあって、結構共感するところが多いんですよね。(早い話が『変人』だという事ですが)
オレが行った時は、他のお客さんがいなかったので、ガイドさんに1対1で案内してもらったのですが、ガイドさんは、オレがもう3回目である事を知っていて、普通は説明しないところまで詳しく説明してくれました。
清酒と雑酒の違い、おり酒とにごり酒の違い、酒を入れてあるタンクの下の方に2ヶ所の出し口がある理由など・・・・酒に関する知識を、かなり深いところまで知る事ができたと思います。
ここでは、他の酒蔵とは違い、個人経営の小規模な蔵元の利点を生かして、昔ながらの手法で酒が造られているので、他所ではもう見る事のできない、昔ながらの『船』が現役で使われています。
また、古酒だけを造っている事もここだけの特徴で、それもヴィンテイジにはこだわらず、酒の状態を見て出荷するというあたり、川尻君の面目躍如というところでしょうか。
試飲用の器も、他所とは違う、少し小ぶりのものでした。
川尻君が、食べてみて、と言って渡してくれたのが、クリームに酒を入れたというシュークリーム。
美味かったので、みやげに買って帰りました。
次の週は、二木酒造・・・・銘柄は『玉の井』『氷室』です。
ここは、ちょうど二之町の角にあるので、奥行きのある大きな蔵元である事は知っていましたが、中に入ってみると、その大きさが良く分かりますね。
ここも、結構機械化が進んでいて、太いホースが張り巡らされていました。
4件目になると、説明される事は分かっているので、その蔵元ごとの特徴を探すようになってくるんですよね。
タンクの大きさであったり、酒を寝かせる蔵の構造であったり・・・・
それから、どこの蔵でもそうですが、黒光りしている木の手すりや、角の磨り減った階段を見ると、過去の長い歴史の中で、酒造りの人達が、数え切れないほど行き来をした、時間の重みを感じますね。
『氷室』の名前の入った器での試飲です。
そういえば東京にいた頃、高山からの土産に『氷室』をもって行く事が多かったですね。
顔馴染みになったガイドの人と話をしていたら、二木さんが通りかかり、久しぶりに話をしました。
ずっと以前、二木さんがウチに来られた時、息子さんが働いているカリフォルニアのワイナリーのワインを持って来られたのですが、そのワイナリーの名前が Phoenix Vineyards で、 不死鳥つながりという事で、今でもそのビンをとってあります。
次の週は、平瀬酒造店・・・・銘柄は『久寿玉』です。
ここだけは、去年一度来ているので知っているのですが、やはり抜かすわけにはいきませんね。
三つ巴の紋を白く染め抜いた暖簾をくぐって中へ入る。
以前はここへ来ると、ウチの料理を本当に愛して下さった故平瀬孝太郎さんが、ニコニコと笑いながら事務所から出てきて、延々と立ち話をしたものですが、孝太郎さんが亡くなった今、ここへ来ると淋しさを感じてしまいます。
飛騨随一の出荷量を誇る蔵元だけあって、機械化も一番進んでいるようで、通路にはいろいろな機械が置かれています。
ここに限らず、どこの蔵元でも酒蔵の入り口に注連縄が張ってありましたが、近代化の流れの中でも、やはり何より伝統を大切にしている事が分かりますね。
スリッパに履き替えて2階へ上がると、麹つけの作業をしているところでした。
発酵させるタンクが並ぶ部屋では、タンクの中を見る事ができました。
そのタンクの並ぶ部屋を出たところで試飲。
孝太郎さんがウチに来られた時は、いつも食事の時間より食後に話をする時間の方が長かったのですが、酒造りの話が出た時に、こんな事を言われました。
「今は『淡麗辛口』が持て囃されているけれど、自分はもっと濃厚な辛口の酒を目指している。」
「出来のいい酒を持っていけば、コンクールで受賞する事は難しい事ではない。それより、受賞した酒と一般に販売する酒の差を小さくする事の方が大切だ。」
「調味料を使って量を増やす造り方もあるけれど、ウチは本当の清酒だけを造る。」
オレは、そういう孝太郎さんの真面目な考え方に共感していたのだけれど、孝太郎さんの志が、これからも受け継がれていってほしいと思います。
本来なら、この次の週は、田邊酒造場のはずだったのですが、廃業される事になったため、平瀬さんが2週間続けて実施しました。
でも、田邊さんの酒蔵を見てみたかったなぁ・・・・
最後の週は、船坂酒造店・・・・銘柄は『深山菊』『甚五郎』『四つ星』です。
経営者が変わり、建物も改装され、多くの観光客が訪れる場所になっているようですね。
通路を通って奥の作業場へ行くと、顔馴染みになったガイドさんが迎えてくれました。
人数が揃うまで、しばらく待っていたのですが、すぐ横で、外国人のグループが英語での説明を聞いていました。
こういう場合、日本人より外人の方が真剣に説明を聞きますね・・・・というか、日本人はこういう場合、説明を聞き流す人が多いように感じるのはオレだけでしょうか。
せっかくの説明を聞き流すのは、もったいないと思うのですけどね。
ここでは、米のサンプルが並べてあって、実際に使う時の削り具合が見て分かるようになっていました。
酒の種類にもよるのでしょうが、ここまで削って使うものなんですね・・・・知識としては知っていたけれど、実物を見ると、改めて驚きます。
中庭に面した酒蔵の前で試飲です。
ここの試飲用の器は、他所とは全く違う、平たいものでした。
で、3日後、もう一度ここへ足を運びました。
というのも、前回来たときに、ガイドの平岡さんが誕生日だと言っておられるのを聞いたので、ウチで誕生日のお客さんに渡している焼菓子を持って来たわけです。
中へ入っていくと、奥の方から、シェフが来てる、って声が聞こえて、出てきたのが杜氏の平岡君・・・・オレが入ってくるのを、2階から見ていたのだそうです。
奥さんに焼き菓子を渡したところで、またちゃっかりと試飲・・・・今回は器が変わって、他所と同じものになっていました。
その後、平岡君に案内してもらって、ここのレストランで働いている元劇団無尽舎の団員だったニシケンに会いに行き、3人で話していたら、社長の有巣君が通りかかり、しばらくいろいろと話をしてました。
ここでは、酒の入ったガトーショコラを食べてみましたが、美味かったですよ。
全酒蔵を回ってみて、本当に面白かった・・・・来年もまた、回ってみようと思っています。
まだ行った事のない方、お勧めですよ。
未曾有の地震と津波が東日本を襲った2日後の3月13日、ヴァイオリンの発表会がありました。
去年は『蔵茂』さんでやりましたが、今年は新宮の教会で行われました。
教会って、残響が多いというイメージがありますが、残響があった方が、演奏のアラを隠してくれますから、ありがたいのですけどね。
今回弾く曲は、ドヴォルザークの『4つのロマンティックな小品』の第1曲。
オレの最も好きなヴァイオリニストの一人である、チョン・キョンファの『スーヴェニール』というタイトルのCDに入っていて、初めて聴いた時、なんていい曲なんだろう、って思ったんですよ。
この曲は、技術的にはそれほど難しくないのだそうですが、ファーストポジションしか使えないオレにとっては、重大な問題があるのです。
この曲のメロディーには、1オクターヴの跳躍が結構出てくるのですが、弦を1本飛び越えての移弦になる事が多いため、どうしてもメロディーのラインが切れてしまう事になるわけです。
もともと正確な移弦が苦手なオレにとっては大問題・・・・それをいかにそれらしく弾けるか、という事なんですが、さらに指使いの苦手な B dur(変ロ長調)という事もあって、問題山積み状態です。
少しゆっくりめのテンポで弾く事で、なんとか問題を小さくすることができそうですが、とにかく、完全に暗譜する事と、ボウイングとフィンガリングを覚える事から始めます。
旋律の名手ドヴォルザークのメロディーをそれらしく弾くためには、大げさにならない範囲での表情をつける事が不可欠ですが、それがまた難しい。
先生から、一度自分の演奏を録音して聴いてみるといい、と言われたけれど・・・・そんな勇気はない。
基本的な技術を身につけるのに苦労しているのに、なぜかそれだけは苦もなくできてしまったヴィブラート・・・・これを有効に使いたいと思いながらも、音程が定まらないうちにヴィブラートを使うと、聴いていて気持ち悪くなるし・・・・
まぁ、習い始めて1年半も経っていない人間が、この曲を一月半で仕上げようなんて、無謀な挑戦である事は間違いないのですが・・・・
今年、伴奏をお願いしたのは、細江美津子さん・・・・ピアノの先生です。
去年の発表会を見て下さったのですが、その後ウチへ来られた時にお話していたら、オレがヴァイオリンを習い始めたのとほぼ同じ時期に、細江さんもチェロを習い始められたそうで、お互いに『同志』のような気持ちがあったのかもしれません。
その時細江さんが、来年は私に伴奏をやらせてよ、って言って下さったので、今回の伴奏をお願いしに行ったのですが、翌週に細江さんの音楽教室の発表会があるという忙しい時期なのに、こころよく引き受けて下さったのです。
で、本番の半月ほど前、細江さんの教室へ行って、実際に合わせてみたのですが・・・・ガチガチに緊張して、まともな音がでなかった去年に比べれば、緊張する事もなく弾けたけど、まだまだ思うようには弾けません。
録音してみよう、と言われて一瞬怯みましたが、勇気を出して挑戦してみました。
まぁね、聞いてみると、やっぱり酷いものでした・・・・でも、思ったより上手く弾けている部分も、少しだけどある・・・・弱点になっているところが分かったので、特にそこを練習する事にしましょう。
細江さんが、伴奏だけを入れたCDを作って下さったので、それに合わせて練習できますね。
本番1週間前のレッスンでは、細江さんにも来てもらって、伴奏つきで先生に見てもらったのですが、先生からすれば、本当に大丈夫かよ、ってくらいの出来で・・・・
この曲は、AABBCの形式・・・・前半と後半を2回ずつ繰り返し、最後に短いコーダが付く・・・・なのですが、弾いているうちに、1回目か2回目か分からなくなってしまったのですよ。
これはもう、感覚的に覚えるしかないのですが、最後の1週間で、どこまで追い込めるかが問題になりますね。
本番当日は、リハーサルが一番後なので、余裕を持って教会へ向かいました。
新宮の教会へは初めて行ったのですが、明るくて雰囲気も良く、そこそこの残響もあって、発表会の会場としては最高ですね。
他の人のリハーサルの間、落ち着かずに教会の中をウロウロしてましたが・・・・
先生のリハーサル。
さすがにプロの演奏はスゴイ!!
でも、この後オレがリハーサルをするのは、気が引けますねぇ。
で、オレのリハーサルの番になり、弾き始める前は、去年、緊張のあまり右手が強張って、まともな音が出なかった事が思い出されて心配していたのですが、最初の一音が普通に出たので、後はいつも通りに弾くだけ・・・・途中、ちょっと危なっかしいところもあったけど、なんとか最後まで弾き通せました。
実を言うと、前のレッスンの時、音程がしっかりと取れないのならヴィブラートはかけない方がいい、と先生に言われていたのですが、この曲にはヴィブラートが必要だと思って、結構多めにかけて弾いたので、何か言われるんじゃないかと・・・・でも先生は何も言わず、ただニコニコと笑っているだけ。
まだ時間があるよ、って言われたので、もう一度弾いて、リハーサルは終わりました。
後は本番です。
リハーサルが終わったら、急にハラが減ってきたので、コンビニへ買い物に行ったのですが、すぐそばに Plants+ があることを思い出し、立ち寄ってじんさんとしばらく話をして、緊張をほぐしてきました。
発表会は1時半開始で、オレは2番目に弾く事になっています。
去年も2番目だったけど、2番目って、なんかビミョーに緊張する順番ですね。
最初に弾く加藤君は、ウチに食事に来て、話をしているうちにヴァイオリンを習う事になったという経緯があり、習い始めて約1年ですが、バッハのト長調のメヌエットを弾きます。
もともとギターを弾いている事もあって、舞台慣れしているせいか、実に様になっている。
弾き終えた後、司会の鴨宮さんも、習い始めて1年とは思えない演奏でした、と言われましたが、次に弾くオレは、余計にプレッシャーを感じてしまいますね。
いよいよオレの番です。
舞台に上がり、客席を見回し、口を開く。
去年は挨拶の後、言い訳的な話をしたのですが、今年はそういう話はせず、伴奏者の細江さんを紹介し、
すぐに演奏に入りました。
最初の一音さえ出せれば、あとは上手くいくはず・・・・
緊張していたせいか、出だしの合図の出し方が曖昧になって、最初の音が伴奏と少しずれましたが、音自体はしっかりと出たので、後はいつものとおり弾くだけ。
緊張はしているのだけれど、その反面、わりと醒めた自分がいて、弾きながら、下のCの音は目一杯ヴィブラートをかけようとか、次のフレーズの最後は思いっきりディミヌエンドしようとか、結構いろりろ考えながら弾いてました。
この曲の後半では、移調に伴う臨時記号が多く出てくるので、音程を取りにくいところがいくつかあるのですが、そこで外してしまいましたけどね。
まぁ、それでも、自分では結構落ち着いて弾けたんじゃないかと思います。
長かったようで短い、約4分の演奏が終わりました。
まぁ、自分としては、完成度を上げるより、自分の思っている事を表現する方に力を入れたのだけれど、そういう意味では上手くいったのではないかと・・・・
演奏後の鴨宮さんの評に「音楽的な表現」という言葉があったので、分かってもらえたんだな、と少しうれしくなりましたね。
まぁね、上達速度は遅いけど、少しずつ進歩しているのではないかと・・・・
オレより後に弾く人達は、キャリア6年以上の人ばかりで、弾く曲も小品ではなく、ソナタやコンチェルトの一楽章を弾きます。
オレの演奏のようにハラハラさせる事はないですから、安心して聞いていられますね。
途中に休憩を挟んで、子供達の演奏もあり、4歳の男の子は途中で寝てしまったので、順番を変更して最後に弾いたのですが、ぐずりながらステージに立ちながらも、きちんとした音程で「むすんでひらいて」を弾いたのには驚きました。
休憩の時、控え室に戻ると、先生がニコニコしながら「西野さん、弾き切ったねぇ。」って言われたんですよ。
おそらく先生は、オレがこの曲を弾き通すのは難しいと思われていたんでしょう。
いつだったかレッスン中に、この曲は難しいよ、って言われた時、オレは能天気に、この曲を弾き通せるようになったら凄い進歩ですよね、なんて言っていたのですが、そういう意味で、進歩できたのだと思います。
来年の発表会では、どんな曲が弾けるようになっているのか、楽しみではありますね。
ここでお知らせです。
6月5日の日曜日の午後1時30分から、新宮教会で、いろんな楽器をやっている人達が集まって、Musica Libera という演奏会をやります。
ソロだけでなく、アンサンブルの演奏もあり、入場無料ですので、ぜひ、お出で下さい。
(問い合わせは、鴨宮さん 090-7308-6449 へ)
オレは上記のドヴォルザークを弾きますが、多分オレが一番経験の浅い出演者になるはずなので、余計に緊張しそうな気がします。
ウチは飛騨総社の氏子で、春祭りも秋祭りも関係ないせいか、全くヒマなので、夜は店を閉めて、夜祭を観に行く事にしています。
で、今年も、曳き別れを見に行ってきました。
3年前にも『曳き別れを観に・・・・』というタイトルで書いた事がありましたが、その後も、雨が降った時を除いて、観に行ってます。
今年のコースは、本町を下って安川通りに入り、上一之町を上がって、新装された『まちの博物館』前の順導場で曳き別れ、というコースです。
毎年、曳き別れの最後は、上三之町の恵比須台組へ行く事にしていますが、今年もそこを通るのは恵比須台だけですね。
7:30に家を出て本町に向かいましたが、先頭はまだ、1丁目あたりにいるようです・・・・えらく遅いな。
まだまだ時間がかかりそうなので、その間に、重要ポイントになりそうな場所を、あちこち見回っておきます。
順導場の前は、まだまだのんびりとした雰囲気・・・・屋台が近づくと、一気に緊張感が漂うんですけどね。
筏橋を通る時、鍛冶橋を見ると、まだ屋台の姿は見えないけれど、太鼓の音が聞こえる方向からすると、もうじき神楽台が鍛冶橋の上に現れそうです。
で、急いで柳橋へ移動すると、山ちゃんが橋の欄干に座っていました。
山ちゃんと、今年は遅いなぁ、なんて言いながら、いろいろ話をして待っていると、鍛冶橋の上に神楽台が現れました。
橋の上の人達の間から、一斉にシャッターの音が響きます。
神楽台が鍛冶橋を渡り終わってしばらくすると、三番叟が見えてきました。
う~ん、いつもだと、橋の上に屋台が並ぶのだけれど、今年は進行が遅いようですね。
続いて、龍神台が通り、石橋台が見えてきたところで、山ちゃんと別れ、順導場へ向かいます。
順導場は、オープンしたばかりの『まちの博物館』の前・・・・まだまだ人はまばらです。
まちの博物館を覗いてみようかとも思いましたが、時間を気にしながら見るのも落ち着かないので、そのまま待つ事に。
すぐ横では、Hits net TV のスタッフが、カメラの準備をしていました。
それから待つ事、約20分・・・・獅子舞を先頭に、行列がやってきました。
で、順導場の前で、獅子舞が始まりました。
この場所、見るのにはいいのだけれど、照明が逆光になって、写真を撮るには最悪。
続いて、神楽台が近づいてきます。
順導場の前で止まり、代表者が押印し、酒を受け取って出発です。
神楽台が離れていった後、続いて三番叟が来るはずなのに、なかなか来ない。
どうしたんだろう、と思っていると、裃の人が走って来て、三番叟が電線に引っかかったので電線を切って動かした、というような報告をしているのです。
まぁ、毎年何かのトラブルはあるのでしょうけど、3年がかりの改修が終わったばかりの三番叟にトラブルとは、いきなりですねぇ。
その三番叟がやって来ました。
確かに、前の恩雀(頭が龍の鳳凰)の尾羽が後ろへ反っているように見えましたが、次の日に撮った写真で見ると、それがよく分かります。
順導場で押印し、酒を受け取って、
囃子を『高い山から』に変えて、離れていきます。
ただ、子供達の歌声が聞こえないのは、なにか物足りませんね・・・・歌っているのは、大人ばかりですから。
続いて龍神台がやってきました。
3年前だったか、順導場の前でからくりの龍神を動かして、観客を沸かせた事がありましたが、今年は静かに離れて行きました。
龍神台も子供の歌声が聞こえない・・・・『自粛』なんでしょうか。
続いて石橋台、それから崑崗台がやってきました。
結構写真を撮ったのだけれど、ケータイのカメラがおバカで、ピント合わせが上手くいかず、画像は無し。
続いて、琴高台が通り
麒麟台が近づいてきました
以前、群鳳>与鹿=麒麟台・・・?というタイトルで麒麟台の事を書いた時、その下段の独自の構造についても書いたのですが、その構造を上手く使って、暗い夜祭でも、下段の与鹿の彫刻が見えるようにしてありますね。
下段の回廊部に照明を入れて、周りを透明のヴィニールで覆ってあります。
上記の、麒麟台について書いた文の中に、子供の頃、夜祭で麒麟台の特殊な構造に気がついて追いかけた事を書いていますが、その頃すでに下段の彫刻を照明で照らしていましたから、考えた人はエライと思いますね。
続いて青龍台が来ました。
中段に子供達がたくさん乗っていますね。
さらに五台山(画像無し)、鳳凰台が続きます。
恵比須台がひときわ大きく囃子を奏しながら続き、殿は大国台です。
大国台組は、屋台の前に子供達が並び、囃子を演奏しました。(全然ピントが合ってねぇ)
最後に宮本の黄鶴台組が、唄いで納め、曳き別れも終わりです。
オレはここから恵比須台を追いかけます。
先回りして、船坂酒造の前で待っていると、恵比須台が姿を現わし、
だんだん近づいてきました。
ここで見る夜祭の景色は、例えようもなく美しいですね。
しかし、両側の軒との間は10cmくらいしかないのではないかと・・・・
目の前を通り過ぎる時、見上げると、本当にギリギリのところを通っていますね。
町並みと屋台の調和、という意味では、これ以上の場所はないでしょう。
一番端まで行った後、屋台蔵の前まで戻り、
乗っていた子供達を降ろした後、提灯をはずして、蔵に入れます。
高山の屋台中でも最大級の大きさを誇る恵比須台は、この狭い道で方向転換しやすいように、方向を変えるための『戻し車』が前後に二つ付いていると聞きましたが、見ていると、その必然性が分かります。
おそらく、屋台を蔵に入れる時の難しさでは、この狭い道で方向転換しなければならない恵比須台と、坂の途中に蔵がある布袋台が双璧でしょうね。
以前、大梃子のMさんに、後ろの鳳凰の尾羽が前の鳳凰より低くなっているのはなぜか、と訊いたら、蔵に入れる時、引っかからないように下向きに引っ張るからだ、と言われましたが、蔵に入れるところを見ていたら、確かに、先がT字型になった棒を尾羽の先に引っ掛けて、下から引っ張りながら蔵にいれていました。
高山一の高さを誇る屋台故の苦労なのかもしれません。
そういえば去年、ここで見ていた時、見送りの提灯枠の金具が引っ掛かって動かなくなってしまい、外す事ができるまで、かれこれ15分くらいかかったのですが、その間に、近くにおられた組内の方から、いろいろ話を聞かせてもらいました。
その話の中で、面白かったのが、提灯の話。
このあたりは道幅が狭いので、屋台の通行のじゃまにならないように、軒下に長箱提灯が吊るされているのですが、その提灯に書かれている「献明燈」という文字をよく見ると、燈という字の偏が、火ではなくて、金になっているんですね。
その方は、火事などの火を嫌うので金にしたのではないか、と言われました。
でも、いわゆる『五行』では、金は火に剋されるので、かえって悪いような気もするのだけれど・・・・考えてみれば、火を消す水を生み出すのは金ですから、つじつまは合っていますね。
その方の話では、屋台も古いけれど、組内の付き合いはもっと古く、ウチとお向かいさんは160年からの付き合いだ、との事。
屋台だけではなく、屋台組も重要文化財クラスという事ですね。
後でお聞きしたら、その方は、小学校の同級生で仲の良かったO君の叔父さんでした。
O君も屋台好きで、いつも屋台の話をしていましたが、そういう遺伝子は脈々と繋がっているんだなぁ、って実感しましたねぇ。
やっぱり、この場所で見る夜祭は本当に美しい・・・・
夜祭で、この通りを全ての屋台が通る時には、何をさておいても観に来たいと思っているのですが、何年後の事なんでしょうね。
では、また。
Ciao. Arrivederci!!
5月ももう下旬かぁ・・・・
やっと、初夏らしい陽気が続くようになりましたねぇ・・・・と言っても、朝晩はまだまだ寒いですが。
毎年、ゴールデンウィークの後は、反動でヒマになる時期ですが、この業界の宿命みたいなものですかね。
ウチの場合、例年ゴールデンウィークはヒマなんですが、今年は自粛ムードもあって、さらにヒマなのではないかと思っていたのだけれど、ありがたい事に大忙しでした。
ただ、こういう時は、一人でやっている限界を感じてしまう事もあります。
朝7時から夜11時までぶっ通し、というのは、体力的には何とかなリますが、気力的には限界に近いですね。
ディナーの場合、お客さんの進行状況を見て、タイミングを合わせながら料理を作ってサーヴィスするわけですから、結構神経を使うし、疲れます。
ウチのディナーの予約は、1日2組までにしていますが、集中力の持続という意味でも、これが限界でしょう。
だから、2組ずつ予約の入った日が続くのは、かなりハードな状況です
先日、ランチに来られた方が、一人でワインを1本空け、かなり酔って帰られたのですが、帰り際にこう言われました。
「店はヒマなくらいでちょうどいいの。忙しかったら身体がもたないよ。」
水商売風の女性でしたから、経験上思っている事を、酔った勢いで言われたのかもしれませんが、ある意味において真理ではありますね。
欲の皮が突っ張って、お客さんを入れるだけ入れるような事をしていれば、ロクな事にはならないでしょう。
料理の質を落とさないように地道にやっていく事・・・・このやり方は変えません。
まぁ、儲けは出ませんが。
さて、では本題に入りましょう。
このブログも、しばらくは『月刊』状態でしたが、以前から書き溜めていたものを仕上げて、一挙にアップします。
今回はひとつずつ独立した話を並べてみました。
飛騨プラネタリウムでのHAYABUSA -BACK TO THE EARTH- 、酒蔵めぐり、発表会、曳き別れ、の4編です。
その結果『超長編』になりますが、かなり前の事もあるので、『いろいろあって 冬~春編』としてまとめてみました。
では、始めましょう。
2月13日、以前にも書きましたが、飛騨プラネタリウムで、HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- が上映されるのを見に行きました。(ここで予告編が見れますよ)
12月に行った時に、『ひだ清見雪まつり』に合わせて11〜13日の3日間だけ再上映される事を、職員の方に教えてもらったので、絶対に見に来ようと思っていたのですよ。
仕事の都合で、最終日にしか行く事ができなかったのですが、見逃したら後がないので、午後最初の回に間に合うように出かけました。
ところが、会場まで行くと、駐車場がいっぱいで入れない・・・・
待っていても空かなくてイライラしていたら、開演5分前になって、ちょうどすぐ近くのクルマが出て行ったので、急いでそこにクルマを入れ、雪道を走ってプラネタリウムに向かう。
中に駆け込んだところで、受付の人が、あと一人、と言っているのが聞こえたので、受付に行って、一人です、と言ったら、ティケットをもらえました。
ギリギリセーフ!!
ドームに入ると、当然中はほぼ満席。
通路脇にちょうど空いている席があったので、そこに座って開演を待ちます。
ドームが暗くなり、ドーム全体に画像が映った時、それだけで感動しましたねぇ。
この映画は、家庭用のDVDも出ているけれど、やっぱりプラネタリウムのドームで見てこその映画だと思います。
映画の内容については、詳しく説明したところで、実際に見なければ分かりませんから、書きません。
でも言える事は、見に行って本当によかった、という事。
見ている間に何回か、眼が熱くなりましたからね。
はやぶさって、単なる機械とは思えない、感情に訴えかけてくるものがありますね。
はやぶさが地球へ帰って来た時、最後に故郷の地球を見せてやりたい、という事で、大気圏突入の直前、一時的に地球の方を向かせ、地球の画像を撮らせたのです。
その画像のスキャニングの途中に電波が途切れているのを見て、最後に地球が見れて良かったなぁ、って少し感傷的な気持ちになってしまいましたが、映画を見ている間、その事を思い出していました。
この映画が作られたのは1年以上前、要するに、はやぶさが地球に向かっている時だったのですから、はやぶさが大気圏に突入して燃え尽きるシーンは、状況を予想してCG化したものなんでしょうが、実際の映像とそっくりだったのは驚きでした。
映像を堪能し、ドームから出て1階へ降りると、12月に来た時に今回の事を教えてくれた職員さんが受付にみえたので、お礼を言いに行くと、オレの事を覚えていてもらえたようで、しばらく話をしてから、ウチの焼菓子とパンフレットを渡してきました。
その後、この HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- には、新たに HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- 帰還バージョン エピローグ~はやぶさが伝えたもの~ という新ヴァージョンが作られたそうですが、それも是非見てみたいものです。
オレは、宇宙や星に関してはマニアではないけれど、すごく惹かれます。
普段、自分の存在について考える事なんてあまりないけど、宇宙について考える時、宇宙が存在するから自分が存在するのだという事実を、改めて実感できますからね。
オレは子供の頃から、どうしようもなく落ち込んだ時、とにかくスケールの大きいものの事を考える事にしていましたが、そうすると、小さな事に悩んでいるのがバカバカしくなって、すぐに立ち直る事ができるんですよ。
そういう場合、一番手っ取り早いのが、宇宙の事を考える事と、手塚治虫の『火の鳥 未来編』を読む事でした。
宇宙の大きさについてはこの画像が分かりやすいですよ。
最後に、最近見つけたばかりの星雲の画像をリンクしておきます。
いやほんと、想像を絶する美しさですね・・・・中でもオレは、オリオン大星雲が好きです。
そういえば昔、オリオン大星雲の写真を見て、ガッチャマンだ、と言った人がいましたが・・・・って、歳が分かりますねぇ。
冬の高山の風物詩となった『酒蔵めぐり』
前から行きたいと思っていながら、初めて行ったのが去年の事で、しかも終了間際の平瀬酒造さんへ駆け込みで行ったのですが、面白かったので、今年は全酒蔵を回ってみようと、その日が来るのを待っていました。
最初は平田酒造場・・・・銘柄は『山の光』『酔翁』『飛騨の華』ですね。
杉玉のついた看板を見ながら中に入ると、そこは時間の流れが違っているような空間です。
オレの他に6人ほどの人が待っていましたが、ガイドをしてくれるのは、ウチのお客さんで杜氏の平岡君の奥さんです。
酒の香りが漂う中、説明を聞きながら、一つ一つの工程を見ていきます。
すべてが歴史を感じさせる、古びた建物や道具・・・・違う時代へ迷い込んだみたいですね。
途中で、後ろから「あれっ」という声が聞こえたので、振り返ると山ちゃんがいました。
仕事が終わったので来てみたのだそうですが、二人で観光客に混じって見ているのも、なんかヘンではありますね。
見学の最後は、酒の試飲です。
板粕をストーブの上で焼いて砂糖醤油をつけたものもありましたが、ストーブを囲んで、ガイドの人達や平田さんから、いろいろ話を聞かせてもらいました。
次の週は、原田酒造場・・・・銘柄は『山車』です。
観光客が一番多い三之町にあるせいか、中に入ると観光客が結構いますね。
見学希望者が揃うまで店内を見ていたのですが、湯気を逃がすための高い天窓からの光が、いかにもそれらしい雰囲気を出してますねぇ。
酒を仕込むための井戸水が飲めるようになっていたので、飲んでみましたが、美味い水です。
ここでは、先に試飲がありました。
今回もガイドは平岡さん。
ここは酒蔵の規模が大きい事もあり、かなり機械化が進んでいて、太いホースが縦横に走っていますが、蒸しあがった米は、このホースの中を風圧で押し出され、次の工程へ運ばれるわけです。
隣のグループは、外人さんが混じっていて、英語のできるガイドさんが説明しています。
日本国内での日本酒の消費が頭打ちになっている現状では、すこしでも外国のファンを増やす事が必要不可欠ではありますね。
その次の週は、川尻酒造場・・・・銘柄は『ひだ正宗』『天恩』です。
中へ入っていくと、川尻君がニコニコと出迎えてくれました・・・・で、いきなり先制攻撃。
「市民時報の広告に『変わった店』って書いてあったけど、店ではなくてマスターが変わっとるんやろ。」・・・・はいはい、確かにそのとおりです。
まぁね、彼の「我が道を行く」という生き方や、エキセントリックとも思える言動が、オレと似ている事もあって、結構共感するところが多いんですよね。(早い話が『変人』だという事ですが)
オレが行った時は、他のお客さんがいなかったので、ガイドさんに1対1で案内してもらったのですが、ガイドさんは、オレがもう3回目である事を知っていて、普通は説明しないところまで詳しく説明してくれました。
清酒と雑酒の違い、おり酒とにごり酒の違い、酒を入れてあるタンクの下の方に2ヶ所の出し口がある理由など・・・・酒に関する知識を、かなり深いところまで知る事ができたと思います。
ここでは、他の酒蔵とは違い、個人経営の小規模な蔵元の利点を生かして、昔ながらの手法で酒が造られているので、他所ではもう見る事のできない、昔ながらの『船』が現役で使われています。
また、古酒だけを造っている事もここだけの特徴で、それもヴィンテイジにはこだわらず、酒の状態を見て出荷するというあたり、川尻君の面目躍如というところでしょうか。
試飲用の器も、他所とは違う、少し小ぶりのものでした。
川尻君が、食べてみて、と言って渡してくれたのが、クリームに酒を入れたというシュークリーム。
美味かったので、みやげに買って帰りました。
次の週は、二木酒造・・・・銘柄は『玉の井』『氷室』です。
ここは、ちょうど二之町の角にあるので、奥行きのある大きな蔵元である事は知っていましたが、中に入ってみると、その大きさが良く分かりますね。
ここも、結構機械化が進んでいて、太いホースが張り巡らされていました。
4件目になると、説明される事は分かっているので、その蔵元ごとの特徴を探すようになってくるんですよね。
タンクの大きさであったり、酒を寝かせる蔵の構造であったり・・・・
それから、どこの蔵でもそうですが、黒光りしている木の手すりや、角の磨り減った階段を見ると、過去の長い歴史の中で、酒造りの人達が、数え切れないほど行き来をした、時間の重みを感じますね。
『氷室』の名前の入った器での試飲です。
そういえば東京にいた頃、高山からの土産に『氷室』をもって行く事が多かったですね。
顔馴染みになったガイドの人と話をしていたら、二木さんが通りかかり、久しぶりに話をしました。
ずっと以前、二木さんがウチに来られた時、息子さんが働いているカリフォルニアのワイナリーのワインを持って来られたのですが、そのワイナリーの名前が Phoenix Vineyards で、 不死鳥つながりという事で、今でもそのビンをとってあります。
次の週は、平瀬酒造店・・・・銘柄は『久寿玉』です。
ここだけは、去年一度来ているので知っているのですが、やはり抜かすわけにはいきませんね。
三つ巴の紋を白く染め抜いた暖簾をくぐって中へ入る。
以前はここへ来ると、ウチの料理を本当に愛して下さった故平瀬孝太郎さんが、ニコニコと笑いながら事務所から出てきて、延々と立ち話をしたものですが、孝太郎さんが亡くなった今、ここへ来ると淋しさを感じてしまいます。
飛騨随一の出荷量を誇る蔵元だけあって、機械化も一番進んでいるようで、通路にはいろいろな機械が置かれています。
ここに限らず、どこの蔵元でも酒蔵の入り口に注連縄が張ってありましたが、近代化の流れの中でも、やはり何より伝統を大切にしている事が分かりますね。
スリッパに履き替えて2階へ上がると、麹つけの作業をしているところでした。
発酵させるタンクが並ぶ部屋では、タンクの中を見る事ができました。
そのタンクの並ぶ部屋を出たところで試飲。
孝太郎さんがウチに来られた時は、いつも食事の時間より食後に話をする時間の方が長かったのですが、酒造りの話が出た時に、こんな事を言われました。
「今は『淡麗辛口』が持て囃されているけれど、自分はもっと濃厚な辛口の酒を目指している。」
「出来のいい酒を持っていけば、コンクールで受賞する事は難しい事ではない。それより、受賞した酒と一般に販売する酒の差を小さくする事の方が大切だ。」
「調味料を使って量を増やす造り方もあるけれど、ウチは本当の清酒だけを造る。」
オレは、そういう孝太郎さんの真面目な考え方に共感していたのだけれど、孝太郎さんの志が、これからも受け継がれていってほしいと思います。
本来なら、この次の週は、田邊酒造場のはずだったのですが、廃業される事になったため、平瀬さんが2週間続けて実施しました。
でも、田邊さんの酒蔵を見てみたかったなぁ・・・・
最後の週は、船坂酒造店・・・・銘柄は『深山菊』『甚五郎』『四つ星』です。
経営者が変わり、建物も改装され、多くの観光客が訪れる場所になっているようですね。
通路を通って奥の作業場へ行くと、顔馴染みになったガイドさんが迎えてくれました。
人数が揃うまで、しばらく待っていたのですが、すぐ横で、外国人のグループが英語での説明を聞いていました。
こういう場合、日本人より外人の方が真剣に説明を聞きますね・・・・というか、日本人はこういう場合、説明を聞き流す人が多いように感じるのはオレだけでしょうか。
せっかくの説明を聞き流すのは、もったいないと思うのですけどね。
ここでは、米のサンプルが並べてあって、実際に使う時の削り具合が見て分かるようになっていました。
酒の種類にもよるのでしょうが、ここまで削って使うものなんですね・・・・知識としては知っていたけれど、実物を見ると、改めて驚きます。
中庭に面した酒蔵の前で試飲です。
ここの試飲用の器は、他所とは全く違う、平たいものでした。
で、3日後、もう一度ここへ足を運びました。
というのも、前回来たときに、ガイドの平岡さんが誕生日だと言っておられるのを聞いたので、ウチで誕生日のお客さんに渡している焼菓子を持って来たわけです。
中へ入っていくと、奥の方から、シェフが来てる、って声が聞こえて、出てきたのが杜氏の平岡君・・・・オレが入ってくるのを、2階から見ていたのだそうです。
奥さんに焼き菓子を渡したところで、またちゃっかりと試飲・・・・今回は器が変わって、他所と同じものになっていました。
その後、平岡君に案内してもらって、ここのレストランで働いている元劇団無尽舎の団員だったニシケンに会いに行き、3人で話していたら、社長の有巣君が通りかかり、しばらくいろいろと話をしてました。
ここでは、酒の入ったガトーショコラを食べてみましたが、美味かったですよ。
全酒蔵を回ってみて、本当に面白かった・・・・来年もまた、回ってみようと思っています。
まだ行った事のない方、お勧めですよ。
未曾有の地震と津波が東日本を襲った2日後の3月13日、ヴァイオリンの発表会がありました。
去年は『蔵茂』さんでやりましたが、今年は新宮の教会で行われました。
教会って、残響が多いというイメージがありますが、残響があった方が、演奏のアラを隠してくれますから、ありがたいのですけどね。
今回弾く曲は、ドヴォルザークの『4つのロマンティックな小品』の第1曲。
オレの最も好きなヴァイオリニストの一人である、チョン・キョンファの『スーヴェニール』というタイトルのCDに入っていて、初めて聴いた時、なんていい曲なんだろう、って思ったんですよ。
この曲は、技術的にはそれほど難しくないのだそうですが、ファーストポジションしか使えないオレにとっては、重大な問題があるのです。
この曲のメロディーには、1オクターヴの跳躍が結構出てくるのですが、弦を1本飛び越えての移弦になる事が多いため、どうしてもメロディーのラインが切れてしまう事になるわけです。
もともと正確な移弦が苦手なオレにとっては大問題・・・・それをいかにそれらしく弾けるか、という事なんですが、さらに指使いの苦手な B dur(変ロ長調)という事もあって、問題山積み状態です。
少しゆっくりめのテンポで弾く事で、なんとか問題を小さくすることができそうですが、とにかく、完全に暗譜する事と、ボウイングとフィンガリングを覚える事から始めます。
旋律の名手ドヴォルザークのメロディーをそれらしく弾くためには、大げさにならない範囲での表情をつける事が不可欠ですが、それがまた難しい。
先生から、一度自分の演奏を録音して聴いてみるといい、と言われたけれど・・・・そんな勇気はない。
基本的な技術を身につけるのに苦労しているのに、なぜかそれだけは苦もなくできてしまったヴィブラート・・・・これを有効に使いたいと思いながらも、音程が定まらないうちにヴィブラートを使うと、聴いていて気持ち悪くなるし・・・・
まぁ、習い始めて1年半も経っていない人間が、この曲を一月半で仕上げようなんて、無謀な挑戦である事は間違いないのですが・・・・
今年、伴奏をお願いしたのは、細江美津子さん・・・・ピアノの先生です。
去年の発表会を見て下さったのですが、その後ウチへ来られた時にお話していたら、オレがヴァイオリンを習い始めたのとほぼ同じ時期に、細江さんもチェロを習い始められたそうで、お互いに『同志』のような気持ちがあったのかもしれません。
その時細江さんが、来年は私に伴奏をやらせてよ、って言って下さったので、今回の伴奏をお願いしに行ったのですが、翌週に細江さんの音楽教室の発表会があるという忙しい時期なのに、こころよく引き受けて下さったのです。
で、本番の半月ほど前、細江さんの教室へ行って、実際に合わせてみたのですが・・・・ガチガチに緊張して、まともな音がでなかった去年に比べれば、緊張する事もなく弾けたけど、まだまだ思うようには弾けません。
録音してみよう、と言われて一瞬怯みましたが、勇気を出して挑戦してみました。
まぁね、聞いてみると、やっぱり酷いものでした・・・・でも、思ったより上手く弾けている部分も、少しだけどある・・・・弱点になっているところが分かったので、特にそこを練習する事にしましょう。
細江さんが、伴奏だけを入れたCDを作って下さったので、それに合わせて練習できますね。
本番1週間前のレッスンでは、細江さんにも来てもらって、伴奏つきで先生に見てもらったのですが、先生からすれば、本当に大丈夫かよ、ってくらいの出来で・・・・
この曲は、AABBCの形式・・・・前半と後半を2回ずつ繰り返し、最後に短いコーダが付く・・・・なのですが、弾いているうちに、1回目か2回目か分からなくなってしまったのですよ。
これはもう、感覚的に覚えるしかないのですが、最後の1週間で、どこまで追い込めるかが問題になりますね。
本番当日は、リハーサルが一番後なので、余裕を持って教会へ向かいました。
新宮の教会へは初めて行ったのですが、明るくて雰囲気も良く、そこそこの残響もあって、発表会の会場としては最高ですね。
他の人のリハーサルの間、落ち着かずに教会の中をウロウロしてましたが・・・・
先生のリハーサル。
さすがにプロの演奏はスゴイ!!
でも、この後オレがリハーサルをするのは、気が引けますねぇ。
で、オレのリハーサルの番になり、弾き始める前は、去年、緊張のあまり右手が強張って、まともな音が出なかった事が思い出されて心配していたのですが、最初の一音が普通に出たので、後はいつも通りに弾くだけ・・・・途中、ちょっと危なっかしいところもあったけど、なんとか最後まで弾き通せました。
実を言うと、前のレッスンの時、音程がしっかりと取れないのならヴィブラートはかけない方がいい、と先生に言われていたのですが、この曲にはヴィブラートが必要だと思って、結構多めにかけて弾いたので、何か言われるんじゃないかと・・・・でも先生は何も言わず、ただニコニコと笑っているだけ。
まだ時間があるよ、って言われたので、もう一度弾いて、リハーサルは終わりました。
後は本番です。
リハーサルが終わったら、急にハラが減ってきたので、コンビニへ買い物に行ったのですが、すぐそばに Plants+ があることを思い出し、立ち寄ってじんさんとしばらく話をして、緊張をほぐしてきました。
発表会は1時半開始で、オレは2番目に弾く事になっています。
去年も2番目だったけど、2番目って、なんかビミョーに緊張する順番ですね。
最初に弾く加藤君は、ウチに食事に来て、話をしているうちにヴァイオリンを習う事になったという経緯があり、習い始めて約1年ですが、バッハのト長調のメヌエットを弾きます。
もともとギターを弾いている事もあって、舞台慣れしているせいか、実に様になっている。
弾き終えた後、司会の鴨宮さんも、習い始めて1年とは思えない演奏でした、と言われましたが、次に弾くオレは、余計にプレッシャーを感じてしまいますね。
いよいよオレの番です。
舞台に上がり、客席を見回し、口を開く。
去年は挨拶の後、言い訳的な話をしたのですが、今年はそういう話はせず、伴奏者の細江さんを紹介し、
すぐに演奏に入りました。
最初の一音さえ出せれば、あとは上手くいくはず・・・・
緊張していたせいか、出だしの合図の出し方が曖昧になって、最初の音が伴奏と少しずれましたが、音自体はしっかりと出たので、後はいつものとおり弾くだけ。
緊張はしているのだけれど、その反面、わりと醒めた自分がいて、弾きながら、下のCの音は目一杯ヴィブラートをかけようとか、次のフレーズの最後は思いっきりディミヌエンドしようとか、結構いろりろ考えながら弾いてました。
この曲の後半では、移調に伴う臨時記号が多く出てくるので、音程を取りにくいところがいくつかあるのですが、そこで外してしまいましたけどね。
まぁ、それでも、自分では結構落ち着いて弾けたんじゃないかと思います。
長かったようで短い、約4分の演奏が終わりました。
まぁ、自分としては、完成度を上げるより、自分の思っている事を表現する方に力を入れたのだけれど、そういう意味では上手くいったのではないかと・・・・
演奏後の鴨宮さんの評に「音楽的な表現」という言葉があったので、分かってもらえたんだな、と少しうれしくなりましたね。
まぁね、上達速度は遅いけど、少しずつ進歩しているのではないかと・・・・
オレより後に弾く人達は、キャリア6年以上の人ばかりで、弾く曲も小品ではなく、ソナタやコンチェルトの一楽章を弾きます。
オレの演奏のようにハラハラさせる事はないですから、安心して聞いていられますね。
途中に休憩を挟んで、子供達の演奏もあり、4歳の男の子は途中で寝てしまったので、順番を変更して最後に弾いたのですが、ぐずりながらステージに立ちながらも、きちんとした音程で「むすんでひらいて」を弾いたのには驚きました。
休憩の時、控え室に戻ると、先生がニコニコしながら「西野さん、弾き切ったねぇ。」って言われたんですよ。
おそらく先生は、オレがこの曲を弾き通すのは難しいと思われていたんでしょう。
いつだったかレッスン中に、この曲は難しいよ、って言われた時、オレは能天気に、この曲を弾き通せるようになったら凄い進歩ですよね、なんて言っていたのですが、そういう意味で、進歩できたのだと思います。
来年の発表会では、どんな曲が弾けるようになっているのか、楽しみではありますね。
ここでお知らせです。
6月5日の日曜日の午後1時30分から、新宮教会で、いろんな楽器をやっている人達が集まって、Musica Libera という演奏会をやります。
ソロだけでなく、アンサンブルの演奏もあり、入場無料ですので、ぜひ、お出で下さい。
(問い合わせは、鴨宮さん 090-7308-6449 へ)
オレは上記のドヴォルザークを弾きますが、多分オレが一番経験の浅い出演者になるはずなので、余計に緊張しそうな気がします。
ウチは飛騨総社の氏子で、春祭りも秋祭りも関係ないせいか、全くヒマなので、夜は店を閉めて、夜祭を観に行く事にしています。
で、今年も、曳き別れを見に行ってきました。
3年前にも『曳き別れを観に・・・・』というタイトルで書いた事がありましたが、その後も、雨が降った時を除いて、観に行ってます。
今年のコースは、本町を下って安川通りに入り、上一之町を上がって、新装された『まちの博物館』前の順導場で曳き別れ、というコースです。
毎年、曳き別れの最後は、上三之町の恵比須台組へ行く事にしていますが、今年もそこを通るのは恵比須台だけですね。
7:30に家を出て本町に向かいましたが、先頭はまだ、1丁目あたりにいるようです・・・・えらく遅いな。
まだまだ時間がかかりそうなので、その間に、重要ポイントになりそうな場所を、あちこち見回っておきます。
順導場の前は、まだまだのんびりとした雰囲気・・・・屋台が近づくと、一気に緊張感が漂うんですけどね。
筏橋を通る時、鍛冶橋を見ると、まだ屋台の姿は見えないけれど、太鼓の音が聞こえる方向からすると、もうじき神楽台が鍛冶橋の上に現れそうです。
で、急いで柳橋へ移動すると、山ちゃんが橋の欄干に座っていました。
山ちゃんと、今年は遅いなぁ、なんて言いながら、いろいろ話をして待っていると、鍛冶橋の上に神楽台が現れました。
橋の上の人達の間から、一斉にシャッターの音が響きます。
神楽台が鍛冶橋を渡り終わってしばらくすると、三番叟が見えてきました。
う~ん、いつもだと、橋の上に屋台が並ぶのだけれど、今年は進行が遅いようですね。
続いて、龍神台が通り、石橋台が見えてきたところで、山ちゃんと別れ、順導場へ向かいます。
順導場は、オープンしたばかりの『まちの博物館』の前・・・・まだまだ人はまばらです。
まちの博物館を覗いてみようかとも思いましたが、時間を気にしながら見るのも落ち着かないので、そのまま待つ事に。
すぐ横では、Hits net TV のスタッフが、カメラの準備をしていました。
それから待つ事、約20分・・・・獅子舞を先頭に、行列がやってきました。
で、順導場の前で、獅子舞が始まりました。
この場所、見るのにはいいのだけれど、照明が逆光になって、写真を撮るには最悪。
続いて、神楽台が近づいてきます。
順導場の前で止まり、代表者が押印し、酒を受け取って出発です。
神楽台が離れていった後、続いて三番叟が来るはずなのに、なかなか来ない。
どうしたんだろう、と思っていると、裃の人が走って来て、三番叟が電線に引っかかったので電線を切って動かした、というような報告をしているのです。
まぁ、毎年何かのトラブルはあるのでしょうけど、3年がかりの改修が終わったばかりの三番叟にトラブルとは、いきなりですねぇ。
その三番叟がやって来ました。
確かに、前の恩雀(頭が龍の鳳凰)の尾羽が後ろへ反っているように見えましたが、次の日に撮った写真で見ると、それがよく分かります。
順導場で押印し、酒を受け取って、
囃子を『高い山から』に変えて、離れていきます。
ただ、子供達の歌声が聞こえないのは、なにか物足りませんね・・・・歌っているのは、大人ばかりですから。
続いて龍神台がやってきました。
3年前だったか、順導場の前でからくりの龍神を動かして、観客を沸かせた事がありましたが、今年は静かに離れて行きました。
龍神台も子供の歌声が聞こえない・・・・『自粛』なんでしょうか。
続いて石橋台、それから崑崗台がやってきました。
結構写真を撮ったのだけれど、ケータイのカメラがおバカで、ピント合わせが上手くいかず、画像は無し。
続いて、琴高台が通り
麒麟台が近づいてきました
以前、群鳳>与鹿=麒麟台・・・?というタイトルで麒麟台の事を書いた時、その下段の独自の構造についても書いたのですが、その構造を上手く使って、暗い夜祭でも、下段の与鹿の彫刻が見えるようにしてありますね。
下段の回廊部に照明を入れて、周りを透明のヴィニールで覆ってあります。
上記の、麒麟台について書いた文の中に、子供の頃、夜祭で麒麟台の特殊な構造に気がついて追いかけた事を書いていますが、その頃すでに下段の彫刻を照明で照らしていましたから、考えた人はエライと思いますね。
続いて青龍台が来ました。
中段に子供達がたくさん乗っていますね。
さらに五台山(画像無し)、鳳凰台が続きます。
恵比須台がひときわ大きく囃子を奏しながら続き、殿は大国台です。
大国台組は、屋台の前に子供達が並び、囃子を演奏しました。(全然ピントが合ってねぇ)
最後に宮本の黄鶴台組が、唄いで納め、曳き別れも終わりです。
オレはここから恵比須台を追いかけます。
先回りして、船坂酒造の前で待っていると、恵比須台が姿を現わし、
だんだん近づいてきました。
ここで見る夜祭の景色は、例えようもなく美しいですね。
しかし、両側の軒との間は10cmくらいしかないのではないかと・・・・
目の前を通り過ぎる時、見上げると、本当にギリギリのところを通っていますね。
町並みと屋台の調和、という意味では、これ以上の場所はないでしょう。
一番端まで行った後、屋台蔵の前まで戻り、
乗っていた子供達を降ろした後、提灯をはずして、蔵に入れます。
高山の屋台中でも最大級の大きさを誇る恵比須台は、この狭い道で方向転換しやすいように、方向を変えるための『戻し車』が前後に二つ付いていると聞きましたが、見ていると、その必然性が分かります。
おそらく、屋台を蔵に入れる時の難しさでは、この狭い道で方向転換しなければならない恵比須台と、坂の途中に蔵がある布袋台が双璧でしょうね。
以前、大梃子のMさんに、後ろの鳳凰の尾羽が前の鳳凰より低くなっているのはなぜか、と訊いたら、蔵に入れる時、引っかからないように下向きに引っ張るからだ、と言われましたが、蔵に入れるところを見ていたら、確かに、先がT字型になった棒を尾羽の先に引っ掛けて、下から引っ張りながら蔵にいれていました。
高山一の高さを誇る屋台故の苦労なのかもしれません。
そういえば去年、ここで見ていた時、見送りの提灯枠の金具が引っ掛かって動かなくなってしまい、外す事ができるまで、かれこれ15分くらいかかったのですが、その間に、近くにおられた組内の方から、いろいろ話を聞かせてもらいました。
その話の中で、面白かったのが、提灯の話。
このあたりは道幅が狭いので、屋台の通行のじゃまにならないように、軒下に長箱提灯が吊るされているのですが、その提灯に書かれている「献明燈」という文字をよく見ると、燈という字の偏が、火ではなくて、金になっているんですね。
その方は、火事などの火を嫌うので金にしたのではないか、と言われました。
でも、いわゆる『五行』では、金は火に剋されるので、かえって悪いような気もするのだけれど・・・・考えてみれば、火を消す水を生み出すのは金ですから、つじつまは合っていますね。
その方の話では、屋台も古いけれど、組内の付き合いはもっと古く、ウチとお向かいさんは160年からの付き合いだ、との事。
屋台だけではなく、屋台組も重要文化財クラスという事ですね。
後でお聞きしたら、その方は、小学校の同級生で仲の良かったO君の叔父さんでした。
O君も屋台好きで、いつも屋台の話をしていましたが、そういう遺伝子は脈々と繋がっているんだなぁ、って実感しましたねぇ。
やっぱり、この場所で見る夜祭は本当に美しい・・・・
夜祭で、この通りを全ての屋台が通る時には、何をさておいても観に来たいと思っているのですが、何年後の事なんでしょうね。
では、また。
Ciao. Arrivederci!!
Posted by spock at 18:46│Comments(2)
│出来事
この記事へのコメント
GWお疲れ様でした。
体力的にも精神的にも疲れた連休でした。GWどんなに忙しくてもこの季節は働きやすい気候という事が救いでもあります。
高山市内全域にGWの勢いが持続してくれれば・・・・と思っていますが・・・
さて、各お祭りも終わりました。
今年も崑崗台にお世話になり、宮本ではspockさんを発見したけど反対側の綱だったのであいさつできず・・・スイマセン・・・
最近思うのが、参加するよりもゆっくり見たいかもと思います。
と言うのは、八幡の大祭にて日枝神社がお帰りになる高張提灯行列。
あれを見た時に、夜祭も客観的にみると見え方が違うだろうな~と感じました。(他の屋台を見ることがないので)
大祭時、
高張提灯の行列を動画で残したのですがピントがあってなくて残念。
「高い山」の演奏で日枝神社の行列が進行する事は今後あるのか?!とかなり後悔しています・・
今年の春は、お祭りをいつもより倍も楽しめた感じで暇な時期に突入しています。
なかななディナーに伺えなくてスイマセン。
時間と余裕が出来次第連絡したいと思います。
では♪
体力的にも精神的にも疲れた連休でした。GWどんなに忙しくてもこの季節は働きやすい気候という事が救いでもあります。
高山市内全域にGWの勢いが持続してくれれば・・・・と思っていますが・・・
さて、各お祭りも終わりました。
今年も崑崗台にお世話になり、宮本ではspockさんを発見したけど反対側の綱だったのであいさつできず・・・スイマセン・・・
最近思うのが、参加するよりもゆっくり見たいかもと思います。
と言うのは、八幡の大祭にて日枝神社がお帰りになる高張提灯行列。
あれを見た時に、夜祭も客観的にみると見え方が違うだろうな~と感じました。(他の屋台を見ることがないので)
大祭時、
高張提灯の行列を動画で残したのですがピントがあってなくて残念。
「高い山」の演奏で日枝神社の行列が進行する事は今後あるのか?!とかなり後悔しています・・
今年の春は、お祭りをいつもより倍も楽しめた感じで暇な時期に突入しています。
なかななディナーに伺えなくてスイマセン。
時間と余裕が出来次第連絡したいと思います。
では♪
Posted by takechi at 2011年05月22日 00:15
どうも~
夜祭には、やっぱり参加してたんですね。
崑崗台が通る時、気をつけて見ていたのだけれど、Takechi君には気がつかなかったので、今年は参加していないのかなぁ、って思ってましたが・・・・
今年のGWは、意外というか、思っていたより忙しく、ディナーの予約が続いたのはありがたかったのですが、そのせいで、総社の祭も、八幡の大祭も、全然見れなかったのが残念ではありますね。
ホント、GWの勢いが持続してくれるといいんですけどね。
ご予約、お待ちしております。
では、また。
夜祭には、やっぱり参加してたんですね。
崑崗台が通る時、気をつけて見ていたのだけれど、Takechi君には気がつかなかったので、今年は参加していないのかなぁ、って思ってましたが・・・・
今年のGWは、意外というか、思っていたより忙しく、ディナーの予約が続いたのはありがたかったのですが、そのせいで、総社の祭も、八幡の大祭も、全然見れなかったのが残念ではありますね。
ホント、GWの勢いが持続してくれるといいんですけどね。
ご予約、お待ちしております。
では、また。
Posted by spock at 2011年05月24日 23:51