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2007年05月14日

化け猫XJ-S その2

Ciao. spock です。

ここしばらく、ありがたい事に忙しかったものですから、更新する事がないまま1ヵ月経ってしまいました。
その間にのぞいて下さった方、ゴメンナサイ。そして、ありがとうございます。

前回の『化け猫XJ-S その1』は、アップした当日のユニークユーザーが70人という事で、これは前々回と並んで、この Blog の記録です。
それから、前回コメントを頂いた frog eyes さんと屋根無しグルマについてのコメントをやりとりしているうちに、ノアドココさんの Blog で盛り上がり、『屋根無しクラブ』ができたのですが、最高でランキング2位まで行きました。
クルマをテーマにしたブログって人気があるんだなぁ・・・と意外に思っているところです。


さて、前回は XJ−S を高山へ連れてきたところまででしたね。
今回はそれから後の話と、オレのXJ-Sへの思い入れの話です。(また長くなりそう・・・)

XJ-S を手に入れるにあたって一番考えたのは、もし壊れたらどうするか、という事でした。
ジャガーのV12が故障の代名詞のように言われているのは事実ですし、オレがXJ-Sを買うと言った時、何人ものクルマ好きの知人達から、止めた方がいいと言われたのですよ。
いろいろ調べていたところ『ジャガー神話』について詳しく書かれているウェブサイト
http://www31.ocn.ne.jp/~carbank/ を見つけ、読んでいるうちに、何とかなるだろうというヘンな安心感を持ったのですが、壊れるまでいかなくても、V12の調子が悪くなった時、すぐに見てくれる工場があるのかという事を考えて迷っていたのです。
そんな時に背中を押してくれたのは、Kさんの一言でした。

Kさんはウチの厨房設備をやってくれた人なのですが、以前はクルマの仕事をしていたそうで、彼の師匠のSさんがV12のエキスパートだったため、ジャガーのV12も扱った事があるというのです。
そのKさんが、「何かあったら、僕が見ますよ。」と言ってくれたのです。
この時点から、あのXJ-Sはオレのところへ来るためにある、みたいに思い始めましたね。


これが Jaguar のV型12気筒SOHCエンジン『8S』です。
5343ccの排気量と11.5の圧縮比から
275ps/5250rpmの最高出力と
41.1kgm/2800rpmの最大トルクを
絞り出します。

以前読んだ Porsche の Flat6 エンジンについ
て書かれた文に「右足を踏み込むと一気にレヴ
カウンターの針が跳ね上がり、右足を離すと小
石が落ちるように針が下がる」とありましたが
Jaguar のV12もそれと全く同じ反応を示しま
す。やっぱりこれはスポーツカーのエンジンだ
と思います。

このエンジン、MTで乗ったら面白いでしょうね。(オレの手に負えるかどうかはわかりませんが・・・)


何かあったらKさんに頼めばいい、と思いながら高山に連れてきたXJ-Sですが、まずやらなければならないのが『車検』です。
車検切れまであと数日。
とにかく今の状態をチェックしてもらわなければ次には進めません。
予約を入れた整備場に行こうと、XJ-Sに乗り込み、イグニッション・キーを捻り、エンジンが・・・・・かからない・・・・
セルモーターは元気よく回るのに・・・・何故だ・・・・・

このクルマをずっと整備していた、名古屋のポルシェ・メカニックのN氏のところへ電話をかけて対処法を聞き、いろいろやってみたけれど全部ダメ・・・・(20W-50のオイルが高山では売られていない事をこの時知りました)
Kさんに助けを求める事にしました。
Kさんに電話をすると、仕事が終ってから、師匠のSさんと一緒に見に来てくれるというのです。本当にありがたいと思いましたね。

日が暮れた頃、小雨の中をKさんが来てくれました。
早速エンジンをかけようとしましたが、やはりかかりません。
Kさんはいろいろ試しているようでしたが、何回目(あるいは十何回目)かのクランキングで、ついにV12は吠えました。
丁度そこへSさんの白いクーペが到着。挨拶もそこそこにエンジンルームを覗き込み、Kさんと話をしていましたが、Kさんが一言「カブっていたみたいですね」 
思わずホッとしました。
その後Sさんに言われた一言に、さっきまで大騒ぎしていた事を忘れて、思わずニヤリとしてしまいましたね。「この年式で、これだけ綺麗に回るエンジンは珍しい」

Sさんに「このクルマを維持していく上で重要な事は何ですか」と質問すると、「油と水に気を使ってやる事です。それをしっかりやっていれば、言われている程ヤワなエンジンじゃないですよ。」と言われました。
これならオレでも維持できるだろうという、楽観的思考によるジャガーとの生活が始まったわけです。

XJ-Sを手に入れるにあたって、決めていた事があります。
それは、自分で出来る事は極力自分でやる、という事。
だから車検も、自分で車検場まで行って、ユーザー車検を受ける事にしていたのですよ。
名義変更も希望ナンバーの申請も自分でやったし、仮ナンバーで車検場へ何回も行きました。
ただ車検に関しては、どうしても素人には手に負えない事(サイドブレーキの調整)があり、最終的にはプロに任せましたが・・・・

あれから1年経ちましたが、エンジンは相変らず絶好調です。
この状態を維持できるようにと、いつも音に注意しながら走っていますけどね・・・


XJ-Sはジャガーのスポーツ・レインジを担うために開発されたのですから、成り立ちから言えば、生粋のスポーツカーなんです。
しかし世評では、スポーツカーではなくGTカーだと言われています。
確かにその性格を考えればGTカーと言うのが正解だと思いますが、実際に乗ってみると、やっぱりこれはスポーツカーだなぁ・・・って感じるのですよ。

こういう事を分析してあれこれ言うのは野暮な事なのかもしれませんが、自分なりに分析してみると、XJ-Sをスポーツカーだと感じるのは、その着座位置のせいだと思うのです。

XJ-Sに乗り込むのは結構大変です。
いや、ただ乗り込むだけならどうって事はないのですが、極めて低い位置にあるシートに、XJ-Sの持つ雰囲気に合わせて『優雅』に座ろうとすると大変なんですよ。   
こんなにデカイ車体なのに、かなりタイトなスペースに身体をすべり込ませなければならないのですが、そのおかげでクルマとの一体感が生まれます。
4765mmの全長に対してホイールベースは2590mmとかなり短い上、前後の車軸の真中より後ろに座ることになるので、リアアクスル(後車軸)がスゴく近いわけです。

いつも自分のクルマの走る軌跡を意識しておられる方ならお解りだと思いますが、自分の思うとおりにクルマを操ろうとすれば、常に後輪の位置を意識している事が大切ですよね。
XJ-Sは、それがスゴく解りやすい、即ち操りやすいのです。
ステアリングを切り込んでいく時、本当に自分を中心に回っている感じがします。
前回、オレが初めてXJ-Sを運転したのは若葉マークの時だった事を書きましたが、軽の運転経験しかないオレが何の苦労もなくXJ-Sを運転できたのは、そういう理由があったからなのだと思うのです。

XJ-Sは、重くて大きいボディーを5343ccのV12で駆動するのですから、軽く小さなボディーを振り回す、例えば Lotus Elise のようなライトウェイト・スポーツカーとは対極にあるわけです。
エンジンを目一杯廻しながら、自分の思うように振り回す快感を味わうのがライトウェイト・スポーツカーの楽しみ方(オレは乗った事がないので本の受け売りですが)だとすれば、有り余るトルクを制御しつつ、クルマの性能と路面状況や自分の運転能力などを考えながら走らせるのがXJ-S(をはじめとするヘヴィーウェイト・スポーツカー)の楽しみ方なのだと思うのです。
そういう意味で、XJ-Sは大人のスポーツカーなんでしょうね。

でも、この『スポーツカー』という言葉自体が、結構漠然としていますよね。
じゃあ、いろいろあるスポーツカーを、スポーツに例えたらどうなるのでしょう。
まぁ、スポーツと言ったっていろいろありますから、その範囲を『スポーツの祭典 オリンピック』の競技に限定して考えてみましょうか。

Lotus の一連のクルマや Super Seven などのライトウェイト・スポーツカーは、身体一つでスピードや跳躍力などを競う陸上競技、あるいは水泳といったところでしょうか。
実質的には重量級GTカーである最近の Porsche や Ferrari も、一般的なイメージではこちらに入るかもしれません.
じゃあ、XJ-Sをスポーツに例えると・・・・・正装して馬に跨がり、正確さと美しさを競う馬術競技でしょうかね。

う〜ん。 そう考えると、オレはXJ-Sをそれらしく走らせているのかなぁ・・・・・
チョッと自信がなくなったりして・・・・・

XJ-Sは優雅な外観を持っているし、女性が優雅に運転していたらスゴく絵になると思うのですが、中身は明らかに『男』です。
XJ-Sに乗っていると、「さあ、胸を張って、しっかりと背筋を伸ばして、堂々と前に向かって進みなさい」と語りかけてくるように感じます。
人間に例えるなら、『相棒』あるいは『親友』、ひょっとしたら『執事』かもしれません。
もしもオレが逆境に陥るような事があったとしても、きっと『彼』はオレがそこから抜け出せるまで励まし続けてくれるように思えるのです。

モーターのように回るV12エンジンの音を聞きながらトップを開けて走っていると、遮二無二スピードを出して走ろうという気や、追い越しをしてまで前に出ようという気はなくなります。
横断歩道の前に歩行者が立っていたら、必ず止まってあげようと思うようになるのですよ。
自然とそういう気持ちになるのは、XJ-Sが『紳士的な態度』を求めてくるからなのだと思います。

オレは自分の思い入れだけで今の仕事をやっているような人間ですから、自分以外の人の思い入れに対しても敏感に感じ取る事ができますし、そういう思い入れは尊重されるべきだと思っています。
そして、その思い入れが共感できるものであれば、最大限の敬意を払って尊重したいと思います。
オレがイタリア料理一筋に生きてきたのは、イタリア料理の中にその歴史を作って来た人達の『思い入れ』を感じ、それに共感しているからだと思っているのですが、XJ-Sの中にもこのクルマを作った人達の『思い入れ』を感じ、それに共感しているからこそ、XJ-Sの求めてくるものに応えようと思うのでしょうね。

よく、何故イタリアのクルマじゃなくてジャガーなんですか、と聞かれる事がありますが、Ferrari や Lamborghini より共感するものが多かっただけなのです。
(もし、あと1台クルマを持つ事ができるなら、Fiat Tipo 2.0 16V が欲しいと思いますが・・・・)

そういえば、オレがクルマに興味を持つようになったきっかけは Corvette を見た事でした。
今でも Corvette は大好きです。でもXJ-Sほど惹かれる事はありません。
アメフト・プレイヤーだったオレが、アメリカのスポーツカーである Corvette ではなく、ラグビー(間違ってもサッカーと言ってはダメですよ。彼の国で Jaguar に乗る人たちは絶対にサッカーはやりませんから)の国のスポーツカーに乗っている。
Corvette よりも XJ-Sから感じ取れる『思い入れ』に、より深く共感しているからなのでしょう。
こういう共感は、好みやライフスタイルなんかを超越してしまうものなんでしょうね。


さて、『化け猫XJ-S』は、まだまだ続きそうです。
次回は多分、現在避けては通れない環境問題の話と、それに絡めてドライヴァーのマナーの話になると思います。
では、また。
Ciao. Arrivederci!!  

Posted by spock at 08:38Comments(8)クルマ