スポンサーリンク

この広告は一定期間(1ヶ月以上)更新のないブログに表示されます。
ブログ記事の情報が古い場合がありますのでご注意下さい。
(ブログオーナーが新しい記事を投稿すると非表示になります。)
  

Posted by at

2007年02月02日

永遠の40番 ワルター/ウィーン 1952

Ciao. spockです。
今回は、オレの最も愛するモーツァルトとワルターの話です。

もう、3週間以上も前の事ですが、店のビールやワインをお願いしているキリンビールのMさんが、うちの担当のIさんと一緒に、年始の挨拶に来られました。
うちのような、大して売上げのない店にまでわざわざ来てもらった事に驚くと共にありがたく思いましたが、さらに驚いた事に「お年賀です。」と言って、大きな封筒を二つ折りにした包みを手渡してくれたのです。早速開けてみると、出てきたのがコレ



去年、ソニー・クラシカルが、プレミア・ゴールドと銘打って限定発売した、金蒸着CDシリーズの中の、ワルター/ウィーン・フィルによる、モーツァルトの交響曲40番と25番です。
去年の年賀状に、モーツァルト生誕250年の事を書いたついでに「ワルター/ニューヨークの演奏が一番好き」と書いたのを、Mさんは憶えていてくれたのです。
Mさんは「普通のCDより、コレの方が音がいいんです。」と、ニコニコしながら言われました。

この、ワルター/ウィーンの40番、1952年の5月18日、ウィーン・フィルの本拠地、ムズィークフェラインザールでの演奏会の実況録音なのですが、ナチから逃れ、亡命してアメリカへ渡ったワルターが、ウィーンへ里帰りしてウィーン・フィルを指揮した演奏会の録音です。
この演奏会では、40番の後にマーラーの『大地の歌』が演奏されていますが、この2曲はワルターの十八番中の十八番なのです。その時の『大地の歌』の録音が、5年前に初めてCDで発売されたので、手に入れて聴いてみましたが、これがまたスゴい演奏です。(この演奏会の前にDeccaが録音した演奏より、ずっと濃い演奏です)この2曲に関しては、このときの演奏を超えるものはないと確信しています。
こんな演奏会を実際に聴く事ができた人達が、羨ましくて仕方がありません。もし、タイムマシーンが本当に発明されて、過去のどこへでも行けるようになったら、オレは迷う事なく、真っ先にこの時の演奏会に行きます。

この演奏の内容について言うなら、あのテーマの最後にかけられた上向ポルタメントに集約されるでしょう。
普通ポルタメントは、弧を描くように、上品にかけられるものですが、この演奏では、直線的に力強くかけられています。頭で考えると、モーツァルトには合いそうもないのですが、実際に聴くと、思わず引き込まれてしまい、ゾクゾクしながら、最後まで聴いてしまいます。
それと、もう一カ所スゴいところがあるのです。フィナーレの第2主題を、クラリネットのソロが吹いていくところ。微妙なニュアンスの付け方も絶品ですが、ヴィーナー・クラリネットの柔らかい音を聴いているだけでも、幸せな気分になりますね。モーツァルトがクラリネットを加えた改訂版を書いた理由が良く解ります。この曲を聴いたシューベルトが『フィナーレから天使の歌が聞こえる』と言ったのは、この部分の事だとオレは確信しています。
ワルターがモーツァルトを演奏する前に、オーケストラに向かって言った『泣き伏したくなる程明るくなければなりません』という有名な言葉を、これ程実感させてくれる演奏を他に知りません。
勿論、この演奏に否定的な人(ロマンティック過ぎるという事らしいのですが)や、あのポルタメントを聴いて思わず笑ったという人がいる事も事実です。でも、オレにとっては、永遠に抱きしめていたい40番です。

実を言うと、今回頂いたCDは、3枚目なのです。つまり、他に同じ内容のものを2枚持っているのです。
最初の1枚は、ちょうど30年前、高校2年の時に買いました。勿論、CDではなくLPでしたが。
SOCO-110という番号まで憶えているそのLPは、ちょうど100枚目に買ったレコードでした。
買った日は1977年2月6日、盤面に針を落としたのは、7日の夜9時少し前の事です。(なぜ憶えているかというと、2月7日は誕生日なので、自分の生まれた時刻に合わせて針を落としたからなのですよ)
2枚目はCDです。いつ買ったのかハッキリとは憶えていません。でも、最初のLPより多く聴いた事は確かです。
そして、今回頂いたCDです。実はこのCD、まだ聴いていないのです。ゆっくりと落ち着いた時に聴こうと思っていたのですが、このところバタバタしていて、気分的に落ち着かない事が多かったものですから・・・・

今、この文を書いていて決めました。このCDは、2月7日の夜に聴く事にします。身体があいているなら、9時少し前に。
30年前、17歳になるのと同時に初めてこの演奏を聴いたオレは、47歳になるのと同時にこの演奏を聴いて、何を想うのでしょう。


では・・・・・また。
Arrivederci!!  

Posted by spock at 16:05Comments(0)音楽