2007年02月14日

北と南の違い

Ciao. spockです。

2月7日の『一糸乱れず』に頂いた、frog eyes さんのコメントに、北と南のパスタと人間のカタさの事があったので、今回はそれについて書きます。

こんな話があります。
ミラノに住んでいる一人の男が神様と会いました。神様はその男が気に入り、別れる時に言いました。
「お前の望みを3つ叶えてやろう。」
男はすかさず言いました。
「イタリアの南半分を海に沈めて下さい。」
神様は言葉を失いましたが、約束なので仕方がなく、イタリアの南半分を海に沈めました。
しばらくすると男は言いました。
「さっき沈めたところをもとに戻して下さい。」
神様は、この男にも良心というものがあったのだと、ホッとしながら、海に沈んだ南半分をもとに戻しました。
すると男は言いました。
「1日後にもう1度南半分を沈めて下さい。そうすれば、心配して南に帰ったヤツらも一緒に沈められますからね。」

北と南の人間の仲が悪い事は有名で、北では南の人間の事を『アフリカ人』と呼び、南では北の人間の事を『ポレンタ(とうもろこしの粉を練りながら煮上げた料理)を喰うヤツら』とよんで、お互いに軽蔑しあっていたのです。
まぁ、人種問題というのはどこでもあるのでしょうが、北と南では人種が違うという事もそうなった原因のひとつのようです。
北には金髪碧眼の白人が多いのに対し、南にはズングリとした色の黒い人が多い事は一目瞭然で、南には移民が多かったからだと言われています。(以前呼んだ本によると、イラン・イラク系の血が濃いので、南にマフィアが出来たのだという説もあるようです。)

前述の frog eyes さんのコメントに、『北の方はパスタはやわらかく人が堅い、南の方は人はやらかいけどパスタは堅いって?本当でしょうか』とありましたが、コレ、ある意味で『名言』かもしれません。
何事にも例外というものは結構あるので、一概には言い切れませんが、イメージとしては、結構鋭いところを突いているように思います。

北より南の方が、パスタの茹で加減が硬いというのは、個人差とか好みの問題を除外すれば、概ね正しいと思います.
その理由としては、気候の問題が関わってくるのですが、その前に、北と南の定義をハッキリさせておきましょう。

北と南の境はどこなんでしょうね。
オレは、厳密な境なんていうものがあるはずはない、と思っているのです.
同じように南北に長い日本の事を考えてみると解りますが、最低、北部・中部・南部の3つに分ける必要があると思います。

北と南の違い
スイス・オーストリア国境から、ボローニャを州都とするエミリア・ロマーニャ州までを北部。
ナポリを州都とするカンパーニア州から南を南部。
その間を中部と呼ぶ事で間違いはないと思います。
中部でも、北へ行く程北の影響を、南へ行く程南の影響を、強く受ける事は言うまでもありません。


そんなわけで。敢えて北と南の境を断定するなら『北と南の文化が入り交じった中部のどこか』と言うしかないでしょうね。
それともうひとつ、偏西風の影響で、ナポリのあたりを境に気候が全く変わってしまう、という事を憶えておいて下さい。

さて、ではまず小麦の話です。
上に書いたとおり、北と南では気候がハッキリと違うため、穫れる小麦が違うのです。

北部で穫れる小麦は軟質小麦(グラーノ テーネロ)で、それを粉にしたものが、日本でも普通に売っている小麦粉です。
強力粉に卵を加えて練った『手打ちパスタ』が盛んに作られ、フェットゥッチーネ、タリアテッレ、リングイーネなどの手打ち麺、ラザーニェやカンネッローニを使ったグラタン、詰め物をしたトルテッローニやアニョレッティなどのラヴィオリなどが愛されているわけです。

南部で穫れる小麦は硬質小麦(グラーノ ドゥーロ)で、粉にしたものがセモリーノと呼ばれ、黄色くてザラザラしています。これを手で練るのは硬過ぎて不可能ですから、機械で練り、真空状態で混じった空気を抜き、高圧をかけて穴から押し出し、乾燥させたものが、スパゲッティやマカロニなどの乾麺なのです。当然、南イタリアでは、乾麺を多く使う事になりますね。
(グラーノ ドゥーロは世界の小麦の5%しか栽培されておらず、パスタ用としてだけ生産されている。イタリアでは、その大半を北米から輸入している。ちなみに、主要先進国の食料自給率をみると、下から1位と2位が日本とイタリア)

このような事から考えると、基本的に南の方がパスタ自体が硬い(と言うか、歯応えがしっかりしている)事が分ると思います。
さらに言うなら、南の人が北の手打ち麺を茹でる場合、いつもの乾麺の感覚で茹でれば、当然、北の人達が茹でるより硬めになるでしょうし、北の人が乾麺を茹でる場合は、逆の理由で柔らかめに茹でるだろう事は容易に想像できますね。
このような理由で、北より南の方がパスタの茹で加減が硬めなのだと、オレは考えています。

それからもうひとつ、パスタの硬さと、人の固さは反比例するかという事ですが、これも例外を除けば、概ね正しいと思います。
相対的に見た場合、北の人達は、都会的で洗練された感じがするのに対し、南の人達は、もっと素朴な感じがします。
過去に付き合った経験から言うと、南の人達は友人としてはすごくいいヤツです。でも、仕事を一緒にすると、友人・知人のために無理矢理融通をきかせようとして(早い話が依怙贔屓ですね)平気でルールを無視するので、しょっちゅう言い争いをしていました。
それが南イタリア風の付き合い方なのかもしれませんが、日本人のオレにとっては「もう少し節度を持ってよ」と言いたくなります。
そんな理由で、付き合うなら南の人もいいけれど、仕事のパートナーにするなら北の人、というのがオレの偽らざる気持ちです。


ここから話は変わりますが、オレが東京にいた頃、自転車仲間の何人かがオランダへ行って来たのです。自転車乗りにとって、見渡す限り平地が続くオランダは、興味をそそられる場所ですからね。
気ままに走りたいということで、みんなひとりか、せいぜいふたりで出かけて行ったのですが、話を聞かせてもらうと、その内の何人かから同じような話を聞いたのです。
それは、こんな話です。

オランダには、なぜかドイツ人が結構いて、こっちが日本人だとわかると話しかけてくる人が何人もいた。大抵が老人で、片言の英語や、身振り手振りを交えて話しかけてくるのだが、最後に意味ありげに笑いながらこんな事を言う。
「今度はイタリア抜きでやろうな」

まぁ、どれだけのドイツ人が本当にそんな事を思っているのかはわかりませんが、日本人とは真面目さや勤勉さという共通点を持つドイツ人にとって、イタリア人より日本人の方がパートナーとして信用できるのかもしれませんね。
でも、日本ではここ10数年来、イタリアブームが続いていると知ったら、ドイツの老人達はどう思うのでしょうね。

では、また。
Ciao. Arrivederci!!

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Posted by spock at 12:16│Comments(6)
この記事へのコメント
ありがとう御座います。

長年の疑問が溶けた様な気がします。
今までは何となく、そうなのかなーって思っていましたが、なるほど採れる小麦ですか。

半分だまされてて、半分正解で、面白いですね、偉いお坊さんの禅問答を、離れた所から聞いているようないないような・・

でも今はとってもスッキリしています。
ありがとう御座いました。

しかし考えて見るに、私は南イタリアの風土に合いそうな気がします、車もドイツ車のカッチリした質感はちょっと苦手です、ちなみに日本車もちょっとナーと思っています。

調子が悪くなったら、タイヤの辺りをけっ飛ばす、その後「お願い機嫌直して」なんてゴマすったり、そんな感じが好きなんですよ。

やっぱり変でしょうか?

パスタもナポリ風アルデンテでーって。
Posted by frog eyes at 2007年02月14日 21:59
frog eyesさん。
読んでもらえましたか。
結構オレの主観の入った文ではありますが、書いている事は間違っていませんから、そのように理解して頂ければいいかと思います。

ところで、frog eyes というお名前が前から気になっていたのですが、車というのはヒーリー・スプライトですか?
ドロップヘッドクーペに乗っているオレにとっては、非常〜に気になる問題なのですが・・・・・
Posted by spock at 2007年02月14日 23:29
ドロップヘッドクーペですか~?
いーなー

私はツインゴですよ。
Posted by frog eyes at 2007年02月15日 09:47
おぉ、ルノーですか。
実物をじっくり見た事はないですが、シャレたというか、かわいいクルマですね。
調子が悪くなったらゴマをするって、イメージにすごくシックリとくる表現だと思います。確かにドイツ車ではありえない話ですね。

ふと気になって調べてみたのですが、
ドイツ語の Auto が男性名詞なのに対し、イタリア語の Macchina や Automobile も、フランス語の Voiture も女性名詞なんですね。
何となく分かるような・・・・

オレの場合は、惚れた相手が悪かったと言うべきか、ムダの塊のようなクルマに乗っているのですが、今思うのは『クルマはできるなら小さい方がいい』という事です。(と言っても手放すつもりは毛頭ありませんが)
トゥインゴ、大切にしてあげて下さい。

そのうちに、ゆっくりお話したいですね。
では、また。
Posted by spock at 2007年02月16日 09:27
けっこうオキャンな車ですよ。

走っているとメータが赤とオレンジに染まって止まったり、暖気中にフゴって止まったり、遅刻しそうで暖気せずに走り出すと、ウボボボってよけい時間が掛かったり。
でもこの子楽しいです、前から見るとまるでメキシコヤドクガエルみたいな所が、気に入ってます。

もちろん直せなく成るまで乗りますよ。
Posted by frog eyes at 2007年02月16日 18:24
いわく車は女性のごとく扱うだそうです

急にはとまれない

急には曲がれない

急には加速しない

だそうですよ先々ったか四五台前の車をみてます

加速してんのか、減速してんのか?

デーレーっきになります。

減速中ならアクセルオフです

機械的に燃料カットされてますから

けっとうなエコドライブになってなすからね

これでかなエコになってます。

時間によゆ~をもちましょ9う
Posted by かえる at 2009年12月13日 23:30
 
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