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2010年12月09日
リハーサルの話 その2
Ciao. spockです。
いや〜、もう12月も中旬かぁ・・・・今年も残すところ、あと3週間ですね。
夜、店を閉める時に、天気予報の最低気温を見て、低くなりそうだと、店の前に置いているゼラニウムのプランターを中へ入れるのですが、もうそろそろ、中へ入れっぱなしになりそうです。
冬に向かう今の時期、気持ちが滅入らないように楽しいことを考えるのが一番いいのですが、あんまりいい話題はないですよねぇ。
まぁ、そんな中で、今の時期の楽しみといえばNFLですよ。
でも、どういうわけかBSで放映されるのは、興味がないと言うか、話題性が無いと言うか、そんなゲームばかりで・・・・仕方が無いので、NFL JAPAN.COMの動画で情報を得てますけど。
今年は全く期待していなかったデンヴァー・ブロンコスですが、今のところ予想通りと言うか、全くの低迷状態です。
去年は、開幕6連勝の後の低迷で、結局プレイオフ進出を逃してしまった事を考えると、後半で上り調子になる方がいいんですが、すでに9敗となると、もう期待できませんね。
ついにマクダニエルス・ヘッドコーチも解任されてしまいましたが・・・・
パスに関しては、QBオートンとWRロイドのホットラインが、NFLでも1位2位を争う好調さを見せているのに対し、ランがNFL最下位と全く振るわないせいもあってか、あと少しのところで負けるパターンに陥っているようです。(第11週のラムズ戦でも、いいところまで追い上げたのに3点届かなかったし、第12週のチーフス戦は、最後の最後に逆転負け。)
でも、上記のNFL JAPAN.COMの動画で、第6週の『TOP5キャッチ』には、ブロンコスから、ロイドとトーマスの2人が、第8週の『TOP5キャッチ』では、TOP1にロイドのレシーヴが選ばれているくらいだし、ロイドの獲得ヤード数やアヴェレイジはダントツの1位なんですから、なんとか勝利に繋げてほしいものですね。(いつも動画を見て思うけど、どんな体勢からでも絶対にエンドゾーン内に両足を残すレシーヴァーって、本当にすごいですね。余談ながら、第6週TOP1のガーソンのレシーヴは、凄すぎてわけが分かりませんが。)
今年はもう、ティームの成績は望まないけど、こういう記録だけは伸ばしてほしいと思います。
まぁ、来期を見据えて、ティームのシステムをしっかりと構築してほしいものですね。
さて、ここで「お知らせ」です。
前回にも書きましたが、高山室内合奏団のクリスマス・ファミリーコンサートが、18日に船津座で、19日に高山文化会館で、14時から行われます。
入場無料の上、休憩時間にはお茶やお菓子も出ますので、ぜひお出で下さい。
一応オレも、セカンド・ヴァイオリンの一番後ろで、弾けるところだけ弾かせてもらいます。
『動物の謝肉祭』のナレーター、という大役も頂いているのですが・・・・ちゃんと出来るんだろうか・・・・
まぁ、やってみないと分かりませんが。
というわけで、18日のランチの営業はお休みさせて頂きますので、よろしくお願いします。
では、本題に入りましょう。
前回の『その1』からの続きです。
この前、あるリハーサルを見せてもらいました。

布袋台のからくりです。
去年、からくりを操っている親友の千葉茂が誘ってくれたので、リハーサルにお邪魔して見せてもらったのですが、今年は去年に続いて2回目です。(布袋台組の人達からは、物好きなヤツだと思われているでしょうね)
今年はメンバーが一部替わり、それぞれが担当する部所も変わっていたけれど、この日は最後のリハーサルという事もあり、そういう事を全く感じさせない、スムースな動きを見る事ができました。
この布袋台のからくりは、40年以上も前、明治百年祭全国からくりコンクールで1位になりましたが、本当にそれだけの内容を持ったからくりだと思います。
以前、からくり人形について調べた事があるのですが、多くのからくり人形が残っている三河地方には、布袋台の唐子のような『綾渡り』も多くあって、綾渡り自体は珍しいものではないようですが、布袋台のからくりがすごいのは、それだけで完結している『綾渡り』を、布袋さんの動きと組み合わせた事で、綾を渡る唐子を、下で布袋さんが喜んで見ているという、二つのストーリーが同時進行するわけです。

この布袋台のからくりが他を圧してスゴいのは、最後に布袋さんが、肩と右手の上に唐子を受け取る事ですね。
綾を渡った人形を別の人形が受け取るというのは、日本広しといえど、布袋台のからくりが唯一無二のものであり、さらに布袋さんの上に乗った唐子が首を振るというその巧妙さは、他のからくりが束になってかかっても敵わないでしょう。
実際に中の構造を見せてもらうと、よくここまで作ったものだと感心してしまいます。
布袋さんの上に載った唐子が首を振り始めると、見ている人は一様に感嘆の声をあげますが、その接合させる部分と、首を動かす仕掛けを組み合わせた接合部の、何と巧妙な仕組み・・・・
布袋さんの脚が動く事は見れば分かりますが、それがただ単に前後に動くのではなく、腰と膝に関節があって、膝を持ち上げながら動くようになっていて、その動きのリアルさを追求した構造に、思わず感嘆の溜息が出てしまいます。
それにしても、ここまで凝りに凝った構造のからくりを作り上げた事に、ある種の執念を感じてしまうのはオレだけでしょうか。
でも、これだけの動きを、たった36本の糸で操っているのはすごい事ですね。
千葉は、長い年月の間に、からくりの調整と、操る人達の試行錯誤が繰り返された結果、現在の完成された動きができるようになったのだろう、と言います。
先年、唐子の人形が新調された時、寸分違わぬ大きさに作られたはずなのに、動きが上手く噛み合わず、人形師が付きっきりで調整を繰り返したけれど、本来の動きにはならなかったと、千葉が話していたのですが、今ではそんな事を全く感じさせないスムースな動きをしているのを見ると、過去にもそういう事が繰り返された結果、今のからくりがあるのだという事を実感させられる話だと思います。
本来は9人で操るからくりを、この日のリハーサルでは7人で操っていましたが、子供の頃からからくりに触れ、分担された部所を順番にこなして来た人達ですから、掛け持ち状態でも、難なくこなせるのでしょうね。
去年まで布袋さんの頭を操っていた千葉も、今年は布袋さんの胴体を担当していましたが、見ていて全く違和感がなかったですからね。
ずーっとからくりをやってきた千葉の息子は、今年の祭当日が野球の遠征のため参加できず、今年から再参加した有巣君が、その分をカヴァーしていました。
以前、何かの本で、からくりを操るには長年の経験と勘が必要で、一朝一夕にできるものではない、と書かれているのを読んだ事があったので、千葉に訊いてみた事があります・・・・からくりの練習って、どれくらいやるのか、って。
それに対する千葉の答えは、祭の前に3回だけ、というものでした。
えっ、そんなに少ないの、と聞き返したオレに、千葉は言いました。
子供の頃からずーっとやっている事なんだから、本番の前にカンを取り戻しておけば大丈夫。それに、何回も練習したら、からくりが壊れてしまう。
なるほど・・・・言われてみれば、そのとおりかもしれません。
そういう『経験とカン』があるからこそ、自分の持ち場が変わっても、すぐに対応できるわけですね。
各人が持ち場に着き、リハーサルが始まります。
ディジタルプレイヤーにつないだスピーカーから、『六段』を崩したといわれる囃子が流れると、それに合わせて布袋さんが動き出します。
始めのうちは、動き具合を確かめながら動かしている、という感じで、各人が調子を合わせているようにも見えますが、冗談を言いながら、和気藹々と進みます。
そんな和やかな雰囲気で進みながらも、お互いに動きを合わせる事に神経を使っていることが分かります。
特に、布袋さんが唐子を受け取るところでは、唐子と布袋さんの位置と向きが合わなければ、うまく受け取れませんから、みんなで声を掛け合いながら、微妙な位置調整をするわけです。

本当にこの時は、見ていても緊張しますね。
唐子がきちんと載って結合が上手くいき、首を振り始めると、ほっとした空気が流れます。
唐子が布袋さんにきちんと載った事を確認した上で綾から離すのですが、最悪の場合には落ちてしまう事もあるわけです。
滅多にない事とはいえ、そういう時のために、屋台の下には受け止める役の人が待機しているそうですが、唐子の人形は、必ず足を下にして落ちるように作られているのだそうです。
2体の唐子が布袋さんの肩と右手の上に載り、布袋さんが軍配を振ると、中から紙吹雪とともに幟が出て、からくりは終わりです。
この日のリハーサルでは、『綾元』の要望で、真ん中の綾から唐子を布袋さんに移す、という試みが最後に行われました。

本来の位置ではないので、綾と人形が干渉しないように、少しずつ位置を調整しながらではありましたが、初めての試みを一発で成功させたのには、流石と言うべきでしょうね。
話を聞いている限りでは、唐子が最後の綾まで行けなかった場合を想定してやったみたいですが、ひょっとしたら、何らかの不具合を抱えているのかもしれません。
終了後に、簡単な片付けがされたのですが、さりげなく話をしながら束ねて編み上げられた糸を見ると、操っている人達の『年期』というものが、よく分かりますね。

この日は、最後のリハーサルという事もあって、その後、皆さんで飲みに出かけられましたが、去年見せてもらった時には、綾元の鍋島勝雄さんから、いろんな話を聞かせてもらいました。
からくりについては詳しく調べた事があるので、知っている話も結構ありましたが、布袋台組に伝わっている話を、直接布袋台組の人から聞くと、その『歴史』というものを重く感じる事ができます。
からくりの伴奏に使われている『六段崩し』は、祇園の芸妓を牛の背に乗せて招き、滞留させて組内の者に伝習させた、という話を本で読んだ時には、漠然と、そんなものかなぁ、って思ってましたが、組内に伝わっている話として綾元から聞くと、史実として実感できるのがおもしろいところですね。
話の中で綾元が、こんな事を言われました。
からくりを見に来る人の中には、失敗する事を期待している人が必ずいる筈だから、上手くいっている時でも、わざと動かなくなったように見せる事もある。
なるほどねぇ・・・・まぁ、そんな事ができるのも、長年の経験があるからなんでしょうけどね。
綾元は、36本の糸のうち、綾に関する14本をひとりで担当するわけですが、このからくりの全てに精通しているからこそできる事なんでしょう。
また、以前、依頼を受けて、あるホールのステージでからくりの実演をする事になったそうですが、緞帳が上がる時に、綾が巻き込まれて破損してしまい、それ以降は、そういう場所での実演は一切断っている、という話を聞いたのですが、破損した部分が修復できたから良かったものの、そうでなければ大変な事になっていたわけですよ。
からくりは、屋台の上で演じているのを下から見るように作られているのですから、詰まるところ「祭の時に屋台の下で見る」のが一番だと思いますね。
今年の祭は、一日目が雨に降られ、全ての行事が中止になったせいもあって、本楽祭のからくり奉納では、八幡の境内に人が入りきれず、早い時間から、まわりの道が通行止めになっていました。
オレは毎年、下一通りで見る事にしているのですが、今年は早めに行ったにもかかわらず、かなりの人が集まっていましたね。

天気は良かったのに、待っているうちに雨が降りそうな気配になってきたので、少し早めに始まる事になったのですが、ディジタルプレイヤーの調子が悪いらしく、伴奏の音楽が流れない・・・・
結局、伴奏なしで始まったのですが、やっぱり、なんか変ですね。
操っている人も、音楽の進み方をたよりに、人形の位置や動きを調整している部分もあるわけですから、やりにくかったでしょうね。

でも、途中から音楽が鳴り出し、そのまま無事終了しましたから、まぁ、良かったんだと思います。
その後、屋台とからくりの人形は、屋台蔵に仕舞われます。
来年は、秋の晴天の下、八幡の境内でのからくり奉納も、夜祭りも見る事ができるように、今から祈っておきましょう。
最後になりましたが、心良くリハーサルを見せて下さった布袋台組の方々に、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。
迷惑でなければ、また来年も・・・・
では、また。
Ciao. Arrivederci!!
いや〜、もう12月も中旬かぁ・・・・今年も残すところ、あと3週間ですね。
夜、店を閉める時に、天気予報の最低気温を見て、低くなりそうだと、店の前に置いているゼラニウムのプランターを中へ入れるのですが、もうそろそろ、中へ入れっぱなしになりそうです。
冬に向かう今の時期、気持ちが滅入らないように楽しいことを考えるのが一番いいのですが、あんまりいい話題はないですよねぇ。
まぁ、そんな中で、今の時期の楽しみといえばNFLですよ。
でも、どういうわけかBSで放映されるのは、興味がないと言うか、話題性が無いと言うか、そんなゲームばかりで・・・・仕方が無いので、NFL JAPAN.COMの動画で情報を得てますけど。
今年は全く期待していなかったデンヴァー・ブロンコスですが、今のところ予想通りと言うか、全くの低迷状態です。
去年は、開幕6連勝の後の低迷で、結局プレイオフ進出を逃してしまった事を考えると、後半で上り調子になる方がいいんですが、すでに9敗となると、もう期待できませんね。
ついにマクダニエルス・ヘッドコーチも解任されてしまいましたが・・・・
パスに関しては、QBオートンとWRロイドのホットラインが、NFLでも1位2位を争う好調さを見せているのに対し、ランがNFL最下位と全く振るわないせいもあってか、あと少しのところで負けるパターンに陥っているようです。(第11週のラムズ戦でも、いいところまで追い上げたのに3点届かなかったし、第12週のチーフス戦は、最後の最後に逆転負け。)
でも、上記のNFL JAPAN.COMの動画で、第6週の『TOP5キャッチ』には、ブロンコスから、ロイドとトーマスの2人が、第8週の『TOP5キャッチ』では、TOP1にロイドのレシーヴが選ばれているくらいだし、ロイドの獲得ヤード数やアヴェレイジはダントツの1位なんですから、なんとか勝利に繋げてほしいものですね。(いつも動画を見て思うけど、どんな体勢からでも絶対にエンドゾーン内に両足を残すレシーヴァーって、本当にすごいですね。余談ながら、第6週TOP1のガーソンのレシーヴは、凄すぎてわけが分かりませんが。)
今年はもう、ティームの成績は望まないけど、こういう記録だけは伸ばしてほしいと思います。
まぁ、来期を見据えて、ティームのシステムをしっかりと構築してほしいものですね。
さて、ここで「お知らせ」です。
前回にも書きましたが、高山室内合奏団のクリスマス・ファミリーコンサートが、18日に船津座で、19日に高山文化会館で、14時から行われます。
入場無料の上、休憩時間にはお茶やお菓子も出ますので、ぜひお出で下さい。
一応オレも、セカンド・ヴァイオリンの一番後ろで、弾けるところだけ弾かせてもらいます。
『動物の謝肉祭』のナレーター、という大役も頂いているのですが・・・・ちゃんと出来るんだろうか・・・・
まぁ、やってみないと分かりませんが。
というわけで、18日のランチの営業はお休みさせて頂きますので、よろしくお願いします。
では、本題に入りましょう。
前回の『その1』からの続きです。
この前、あるリハーサルを見せてもらいました。

布袋台のからくりです。
去年、からくりを操っている親友の千葉茂が誘ってくれたので、リハーサルにお邪魔して見せてもらったのですが、今年は去年に続いて2回目です。(布袋台組の人達からは、物好きなヤツだと思われているでしょうね)
今年はメンバーが一部替わり、それぞれが担当する部所も変わっていたけれど、この日は最後のリハーサルという事もあり、そういう事を全く感じさせない、スムースな動きを見る事ができました。
この布袋台のからくりは、40年以上も前、明治百年祭全国からくりコンクールで1位になりましたが、本当にそれだけの内容を持ったからくりだと思います。
以前、からくり人形について調べた事があるのですが、多くのからくり人形が残っている三河地方には、布袋台の唐子のような『綾渡り』も多くあって、綾渡り自体は珍しいものではないようですが、布袋台のからくりがすごいのは、それだけで完結している『綾渡り』を、布袋さんの動きと組み合わせた事で、綾を渡る唐子を、下で布袋さんが喜んで見ているという、二つのストーリーが同時進行するわけです。
この布袋台のからくりが他を圧してスゴいのは、最後に布袋さんが、肩と右手の上に唐子を受け取る事ですね。
綾を渡った人形を別の人形が受け取るというのは、日本広しといえど、布袋台のからくりが唯一無二のものであり、さらに布袋さんの上に乗った唐子が首を振るというその巧妙さは、他のからくりが束になってかかっても敵わないでしょう。
実際に中の構造を見せてもらうと、よくここまで作ったものだと感心してしまいます。
布袋さんの上に載った唐子が首を振り始めると、見ている人は一様に感嘆の声をあげますが、その接合させる部分と、首を動かす仕掛けを組み合わせた接合部の、何と巧妙な仕組み・・・・
布袋さんの脚が動く事は見れば分かりますが、それがただ単に前後に動くのではなく、腰と膝に関節があって、膝を持ち上げながら動くようになっていて、その動きのリアルさを追求した構造に、思わず感嘆の溜息が出てしまいます。
それにしても、ここまで凝りに凝った構造のからくりを作り上げた事に、ある種の執念を感じてしまうのはオレだけでしょうか。
でも、これだけの動きを、たった36本の糸で操っているのはすごい事ですね。
千葉は、長い年月の間に、からくりの調整と、操る人達の試行錯誤が繰り返された結果、現在の完成された動きができるようになったのだろう、と言います。
先年、唐子の人形が新調された時、寸分違わぬ大きさに作られたはずなのに、動きが上手く噛み合わず、人形師が付きっきりで調整を繰り返したけれど、本来の動きにはならなかったと、千葉が話していたのですが、今ではそんな事を全く感じさせないスムースな動きをしているのを見ると、過去にもそういう事が繰り返された結果、今のからくりがあるのだという事を実感させられる話だと思います。
本来は9人で操るからくりを、この日のリハーサルでは7人で操っていましたが、子供の頃からからくりに触れ、分担された部所を順番にこなして来た人達ですから、掛け持ち状態でも、難なくこなせるのでしょうね。
去年まで布袋さんの頭を操っていた千葉も、今年は布袋さんの胴体を担当していましたが、見ていて全く違和感がなかったですからね。
ずーっとからくりをやってきた千葉の息子は、今年の祭当日が野球の遠征のため参加できず、今年から再参加した有巣君が、その分をカヴァーしていました。
以前、何かの本で、からくりを操るには長年の経験と勘が必要で、一朝一夕にできるものではない、と書かれているのを読んだ事があったので、千葉に訊いてみた事があります・・・・からくりの練習って、どれくらいやるのか、って。
それに対する千葉の答えは、祭の前に3回だけ、というものでした。
えっ、そんなに少ないの、と聞き返したオレに、千葉は言いました。
子供の頃からずーっとやっている事なんだから、本番の前にカンを取り戻しておけば大丈夫。それに、何回も練習したら、からくりが壊れてしまう。
なるほど・・・・言われてみれば、そのとおりかもしれません。
そういう『経験とカン』があるからこそ、自分の持ち場が変わっても、すぐに対応できるわけですね。
各人が持ち場に着き、リハーサルが始まります。
ディジタルプレイヤーにつないだスピーカーから、『六段』を崩したといわれる囃子が流れると、それに合わせて布袋さんが動き出します。
始めのうちは、動き具合を確かめながら動かしている、という感じで、各人が調子を合わせているようにも見えますが、冗談を言いながら、和気藹々と進みます。
そんな和やかな雰囲気で進みながらも、お互いに動きを合わせる事に神経を使っていることが分かります。
特に、布袋さんが唐子を受け取るところでは、唐子と布袋さんの位置と向きが合わなければ、うまく受け取れませんから、みんなで声を掛け合いながら、微妙な位置調整をするわけです。

本当にこの時は、見ていても緊張しますね。
唐子がきちんと載って結合が上手くいき、首を振り始めると、ほっとした空気が流れます。
唐子が布袋さんにきちんと載った事を確認した上で綾から離すのですが、最悪の場合には落ちてしまう事もあるわけです。
滅多にない事とはいえ、そういう時のために、屋台の下には受け止める役の人が待機しているそうですが、唐子の人形は、必ず足を下にして落ちるように作られているのだそうです。
2体の唐子が布袋さんの肩と右手の上に載り、布袋さんが軍配を振ると、中から紙吹雪とともに幟が出て、からくりは終わりです。
この日のリハーサルでは、『綾元』の要望で、真ん中の綾から唐子を布袋さんに移す、という試みが最後に行われました。

本来の位置ではないので、綾と人形が干渉しないように、少しずつ位置を調整しながらではありましたが、初めての試みを一発で成功させたのには、流石と言うべきでしょうね。
話を聞いている限りでは、唐子が最後の綾まで行けなかった場合を想定してやったみたいですが、ひょっとしたら、何らかの不具合を抱えているのかもしれません。
終了後に、簡単な片付けがされたのですが、さりげなく話をしながら束ねて編み上げられた糸を見ると、操っている人達の『年期』というものが、よく分かりますね。

この日は、最後のリハーサルという事もあって、その後、皆さんで飲みに出かけられましたが、去年見せてもらった時には、綾元の鍋島勝雄さんから、いろんな話を聞かせてもらいました。
からくりについては詳しく調べた事があるので、知っている話も結構ありましたが、布袋台組に伝わっている話を、直接布袋台組の人から聞くと、その『歴史』というものを重く感じる事ができます。
からくりの伴奏に使われている『六段崩し』は、祇園の芸妓を牛の背に乗せて招き、滞留させて組内の者に伝習させた、という話を本で読んだ時には、漠然と、そんなものかなぁ、って思ってましたが、組内に伝わっている話として綾元から聞くと、史実として実感できるのがおもしろいところですね。
話の中で綾元が、こんな事を言われました。
からくりを見に来る人の中には、失敗する事を期待している人が必ずいる筈だから、上手くいっている時でも、わざと動かなくなったように見せる事もある。
なるほどねぇ・・・・まぁ、そんな事ができるのも、長年の経験があるからなんでしょうけどね。
綾元は、36本の糸のうち、綾に関する14本をひとりで担当するわけですが、このからくりの全てに精通しているからこそできる事なんでしょう。
また、以前、依頼を受けて、あるホールのステージでからくりの実演をする事になったそうですが、緞帳が上がる時に、綾が巻き込まれて破損してしまい、それ以降は、そういう場所での実演は一切断っている、という話を聞いたのですが、破損した部分が修復できたから良かったものの、そうでなければ大変な事になっていたわけですよ。
からくりは、屋台の上で演じているのを下から見るように作られているのですから、詰まるところ「祭の時に屋台の下で見る」のが一番だと思いますね。
今年の祭は、一日目が雨に降られ、全ての行事が中止になったせいもあって、本楽祭のからくり奉納では、八幡の境内に人が入りきれず、早い時間から、まわりの道が通行止めになっていました。
オレは毎年、下一通りで見る事にしているのですが、今年は早めに行ったにもかかわらず、かなりの人が集まっていましたね。

天気は良かったのに、待っているうちに雨が降りそうな気配になってきたので、少し早めに始まる事になったのですが、ディジタルプレイヤーの調子が悪いらしく、伴奏の音楽が流れない・・・・
結局、伴奏なしで始まったのですが、やっぱり、なんか変ですね。
操っている人も、音楽の進み方をたよりに、人形の位置や動きを調整している部分もあるわけですから、やりにくかったでしょうね。

でも、途中から音楽が鳴り出し、そのまま無事終了しましたから、まぁ、良かったんだと思います。
その後、屋台とからくりの人形は、屋台蔵に仕舞われます。
来年は、秋の晴天の下、八幡の境内でのからくり奉納も、夜祭りも見る事ができるように、今から祈っておきましょう。
最後になりましたが、心良くリハーサルを見せて下さった布袋台組の方々に、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。
迷惑でなければ、また来年も・・・・
では、また。
Ciao. Arrivederci!!
Posted by spock at
20:32
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