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2012年05月28日

日本一の米で・・・・いや世界一かな

Ciao. spockです。

毎年5月は、ゴールデン ウィークが明けてからヒマな日が続くのですが、今年は特にヒマなような気がします。
去年の5月が結構忙しかったので、余計にそう思うのかもしれませんが。

ここしばらく、テレビでも新聞でも「金環日食」の話で持ちきりになっていましたが、終ってしまえば、あっけないものですねぇ・・・・まぁ、当日の朝は、オレもそわそわしてましたけど。
専用のメガネなんて持っていないので、紙にピンホールを開けたものをレンズの替わりにして、地面に置いたプラスティック版に映した太陽を見ていましたが、ほとんど環になった時は、やっぱり感動しましたねぇ。

国立天文台の研究グループが、金環日食の時に見られる、月の谷からこぼれる光の玉の連なり『ベイリービーズ』を詳細に観測する事で、太陽の直径を 1392020kmと正確に計算できたのだそうですが、なんかスゴいですよね。

でもね、日食が起こる事より、その日食が起こる事を、何年、何十年、あるいは何百年も前から秒単位で予測できる事の方がすごい、とオレは思うのですけどね。


さて今回は、久しぶりに料理の話をしましょうか。

数年前、インターネット上でよく見かけた笑い話に、こんなのがありました。

六カ国協議で日本がトイレに席を立ったあとの会話。
中国  「日本を本気で怒らせてみたいが、本当に難しい。潜水艦で領海に入っても怒らないし・・・・」
韓国  「独島を占拠しても怒らない」
ロシア 「北方領土を返さなくても怒らない」
北朝鮮 「なら、おれが核ミサイルをぶち込んでみようか」
米国  「よせ、それはもうおれがやってみた」
5カ国  「一体どうすれば・・・・」
中韓  「俺らは日本人を怒らせようと犯罪者を大量に輸出してみたんだが、俺らの国の国民のビザ免除に動いてくれてるし・・・・」
北露  「ふーむ・・・・」
アメリカ「あ、でも牛肉に脊髄入れたら怒った」
中国  「ギョーザに毒入れたらすごい怒った」
韓国  「キムチに寄生虫入れたら激怒した」
ロシア 「あいつら、食い物の事でしか怒らないんじゃないか?」
米中韓北「あっ!!」


まぁ、実に見事に日本人の本質を突いた笑い話だと思うけど、かように日本人というのは、能天気の極致みたいな人種なのに、こと「食べる事」に関しては、世界的に見ても異常なほどの執念を持った民族なんですね。

いつだったか、日本で暮らしている英国人ジャーナリストが、「日本は本当に素晴らしい国だ。ただ、お笑い芸人と食べ物の事しか出てこないテレビ番組を除けば・・・・」というような文章を書いているのを見たのだけれど、日本人のオレが見ても、テレビ番組については全くその通りだと思うのだから、そう言われても当然の事だし、ホント、食べ物の事以外は、まともに考える事がないんじゃないかと思ってしまいますね。

まぁ、だからこそ、本家の中国でもできなかった「インスタントラーメン」みたいな世紀の大発明ができたわけだし、日本にいれば世界中の料理が食べられる、と言われるのも、ミシュランの評価が高いのも、ある意味で、当然の事なのかもしれません。

ただ、これは日本人の特性なんだと思うのだけれど、海外から入って来た物はなんでも、日本流にアレンジしてしまうため、日本で食べられる海外の料理は、「日本風」という形容詞が前に付く事が多いんですよね。
「日本風中華料理」、「日本風イタリア料理」、「日本風フランス料理」・・・・まぁ、それはそれで、かなりレヴェルの高いものである事は確かなんですが、あくまでも亜流である事は知っておくべきだと思います。

オレは、イタリアが好きで、イタリアの文化が好きで、イタリアの料理が好きな人間ですから、イタリアのやり方をそのままに、という事に拘って「イタリア料理」を作っているわけです。
だから、テレビなんかで紹介される「イタリア料理」に対して、それはイタリア料理ではないだろう、って思わずツッコミを入れてしまう事も多々ありますけど、そういう状況だからこそ、オレは何も弄っていない、現地と同じ「イタリア料理」を作り続けたいと思うわけです。

なぁ〜んて、偉そうな事を言っても、オレも日本人なんで、自分の専門以外のところでは、同じような事をやっているのかもしれないのですけどね。


さて、以前にも書いた事がありますが、できる限り現地と同じ作り方で「イタリア料理」を作っているオレが、敢えてレシピを変えて作っている料理が2つあります。
1つはニョッキで、もう1つはリゾットなんですが、今回は、リゾットについて書いておきたい事があるので、前回の補足として読んで頂ければいいかと思います。(カブる部分もあると思いますが)

オレがリゾットで敢えてレシピを変えているのは「米」なんですが、その事について、以前のブログに、こう書いています。

日本で食べられている『ジャポニカ米』は、短粒種とも呼ばれる、粒が短くて粘りの多いタイプの米ですから、炊いて食べるのに最適なんですが、長粒種のインディカ米は、粘りが少ないタイプの米なので、炊いて食べると、芯が残り、独特のニオイが出てしまうため、不味いと言われる事になるわけです。
そういう性質のインディカ米は、調理してもべたつかず、必ずアルデンテに仕上がる・・・・リゾットは、そういう料理なんですね。

ただ、米自体の味を比べると、比較するまでもなく、ジャポニカ米の方が遥かに美味いんです。
だから、ジャポニカ米でリゾットを作れば、絶対に美味いんですよ。
実際、イタリア人に日本の米のリゾットを食べさせると、日本の米の方が美味い、って言いますからね。
問題は、粘りを出さずに、アルデンテに仕上げる事なんですが、それには、それなりのテクニックが必要なんです。
オレはそのテクニックを持っていますから、ウチでは敢えて、インディカ米ではなく、ジャポニカ米でリゾットを作っているんです。


というわけで、ここ数年、美味いと思って普段から食べている、新宮町の尾山さんの米を使ってリゾットを作っているのですが、この尾山さんの米が、去年『第13回 米・食味分析鑑定コンクール 国際大会』で金賞を受賞し、日本一の米と認められました。
「日本一の米」という事は「世界一の米」と言ってもいいわけですが、そういう米を使ってリゾットを作れる事を幸せだと思うし、本当にありがたい事ですね。
オレより美味いリゾットを作る人はいくらでもいるでしょうけど、世界一の米を使ってリゾットを作っている人は、そうはいないと思いますから。

以前からこのブログを読んでもらっている方で、カンのいい方なら、毎年ウチのために特別にトマトを作ってもらっている「Oさん」というのが尾山さんの事であると気がつかれたでしょう。

いつだったか、尾山さんのところへ行って話をしている時、ウチで作る物が美味いのは水のおかげだ、と言われた事がありました。
尾山さんの使う水は、そのまま飲めるきれいな湧き水だそうで、その水を畑にも田圃にも使っているのだそうです。

日本一になった米の田圃には、当然その水を使い、息子さんが毎日朝晩2回水を入れ替えているそうで、そうやって温度差を与える事で、米が美味くなるとの事。
なんか、そういう話を聞くと、初めの方に書いた「日本人の食への執念」みたいなものを実感できますよね。

日本一になったというのに尾山さんは飄々としたもので、日本一の米は、自分の家で食べる分と、以前から買ってもらっている5軒の人の分だけを稲架で干して、あとは農協へ渡してしまったのだとか。
日本一になった事が新聞に出た後、多くの問合せや、大手の流通会社からの引き合いがあったそうですが、農協へ訊いてくれ、と言って全部断ったそうです。

いい物がたくさん出来るわけがない、と言って尾山さんは笑いますが、もともとかなり安く分けてもらっていた上、日本一になったからといって値段が上がったわけでもなく、本当に申し訳ないくらいです。
だから、この米は大切に食べたいし、心して料理しなければなりませんね。


さて、ウチでお出ししているリゾットは、シンプルなものばかりです。
バターとパルミジャーノ レッジャーノをタップリと加えて仕上げたパルマ風リゾット Risotto alla parmigiano. や、そこにサフランを加えて黄金色に仕上げたミラノ風リゾット Risotto alla milanese. 、さらに、戻した乾燥ポルチーニをバターで炒めて加えたポルチーニ入りのリゾット Risotto alla parmigiana (milanese) con funghi. 、だいたいそれくらいですね。

もちろん、それ以外にも作ろうと思えば作れますが、その必要性を感じないので、それだけを作っているわけです。

リゾットやパスタなどの「プリーモ ピアット」(第1の皿、魚や肉の前に出る料理)は、シンプルであるべきです。
なぜなら、それは「素材」を味わう料理だからです。
便宜上、パスタを例に説明しますが、イタリア人にとって、パスタを料理するという事は、あくまでも「パスタ」を美味く食べるための事なんです。

パスタを美味く食べるためには、まず茹で具合が大切ですが、その上で、ソースはパスタそのものの味を引き立てる、シンプルなものでなければならないし、パスタを食べ終わった時に、皿にソースがべっとりと残っているほどソースが多過ぎてもいけないのです。
それが、長い歴史の中で、イタリア人が作り上げて来た「ルール」というものなんです。

だからイタリア人は、フランス人のパスタの作り方や食べ方に、眉をひそめる事が多いですね。
なぜなら、パスタを柔らかく茹でてしまう事はさておき、ソースに具材を入れ過ぎる上、ソースが皿に多量に残ってしまうほど量が多い・・・・要するに、ソースを食べるためにパスタを食べているわけです。
また、パスタをナイフで短く切ってからスプーンの上で丸めて食べる人がいる事も、イタリア人に言わせれば「フランチェーゼ(フランス人)はバカだから」という事になるわけです。

イタリアでは、パスタを美味く食べるために、店の方でも、出来立てをすぐに出す事を第一に考えます。
出来上がったパスタを皿に盛りつけたら、余計な飾り付けなんかしないし、カメリエーレ(ウェイター)は走るように客のところへ持って行き、客はすぐに、すごい勢いで食べ始めるわけですよ。

そういうふうに考えると、日本人がそばに対して思い入れを持つのと似ているように思います。
ざるに盛っただけのそばを、ほんの少しだけつゆにつけてすすりこみ、香りとのどごしを味わう。
パスタにしろ、そばにしろ、「麺」というのはそういうものなのでしょうが、それこそが、日本人とイタリア人という、麺好きの民族が共に持ち得た「美学」というものだと思うのです。
それ故、オレはその「美学」を敬い、大切にしたいのです。

ちなみに、ウチではパスタを「ハーフ&ハーフ」でお出ししていますが、2種類のパスタを食べてもらうため、というより、半分ずつ時間差をつけてお出しする事で、パスタがのびないうちに食べてもらえるようにしたい、と思ったところから始めたわけです。
まぁ、そこまで考えてお出ししても、話に夢中で、パスタがのび切ってから食べるお客さんがいますが、本当に残念に思いますね。


ここまで書いてきた事は、当然リゾットの場合にもあてはまるわけで、米の味と歯応えを楽しむのが第一ですから、シンプルなものの方がいいに決まっています。
特にウチの場合、最高の米を使っているのですから、余計なものを加えたら、米に対して失礼ですね。

さらに言うなら、パスタやリゾットは「プリーモ ピアット」であり、次に「セコンド ピアット」(2番目の皿、魚や肉の料理)が出てくるのですから、当然、その後に出てくる「魚や肉」とカブるような具材を使ったソースではダメだし、メインの料理であるセコンド ピアットを引き立てるためにも、やたらと具材の入ったゴチャゴチャとしたソースではダメで、シンプルなソースでなければならない、という事がお解りでしょう。

たとえば、魚介類をふんだんに使った豪華版のパスタ、なんていうと、いかにもスゴいように思えますが、それはパスタだけで済まそうというビンボー臭い食べ方だ、と言われても仕方がないですね。
もっとも、そういうパスタは、パスタだけで完結する、いわゆる「パスタハウス」あたりがやる事なんですが・・・・

もちろん、パスタなんて、どんなふうに食べようが、どんなふうに作ろうが勝手だろ、って言われればそれまでです・・・・それまでなんだけど、でも、イタリア人が長い歴史の中でパスタを美味く食べるために考えて来た「ルール」がある、という事は知っておいてほしいですね。

長々と書いて来ましたが、ウチのリゾットやパスタがシンプルなものばかりである理由をわかってもらえたと思います。
シンプル故に、米の、パスタの、そのものの美味さを味わってもらえるわけです。
世界一の米で作ったリゾット・・・・まだの方はぜひ一度、食べてみて下さい。

あ、それから、以前にも書きましたが、「リゾット」と言う場合、アクセントは「ゾ」のところに付きます。
ゾットではなく、ットですから、お間違えのないように!!


この前、尾山さんのところへ行った時、トマトを植えたよ、って言われたので、今年の夏も、あの絶品のトマトを使う事ができそうです。

完全に熟したものの中から、良いものを選ってウチにまわしてもらうのですが、余りが出た時は、直売所や朝市へ出すそうです。

尾山さんは、先年、ご主人を亡くされてから、朝市へ出るのを止めておられたようですが、このところ朝市へちょくちょく出てみえるようですから、今年の夏は朝市で、尾山さんのトマトが手に入るかもしれませんよ。
 

さて、最後にお知らせですが、おかげ様で LA FENICE は、7月1日から8年目に入ります。
で、恒例のパーティーをやります。
7周年感謝パーティーは盛大にやりたいと思っていますが、7月7日の夜7時からの予定で準備を進めています。
詳しい事が決まり次第、連絡しますので、もう少しお待ち下さい。


では、また。
Ciao. Arrivederci!!   

Posted by spock at 07:35Comments(2)料理